おいしいにんじんの周波数のはなしの続きとなります。
今回は人参が芽をだすときについてお話していこうと思います。
人参の種をまく土つくり
畑では人参が快適に元気に育つことができるように、3月から有機物を畑にすき込み微生物に分解してもらいながら土つくりを始めていました。
種に周波数をかけて準備している頃は夏にどんどん生える草の管理を進めて準備をしていました。
人参を育てる畑にはコウブシという(ハマスゲとも呼ばれる)多年草が全面にびっしり生えていました。
このコウブシは異様なほど繁殖力が強く、過去に不耕起で栽培していた時期に全面に広がってしまっていました。
コウブシは地上部の葉を刈っても、根が残るとすぐに生えてきて夏場だと2~3日もすると元通りになるくらい生育が旺盛です。
人参は双葉が小さく、初期生育もゆっくりなのでコウブシがあると発芽や生長にとても厳しい環境になってしまします。
有機物はいい具合に分解して土の団粒化は見られていたので、仕上げのコウブシ掘出しを連日の猛暑の中進めました。
連日平均気温は30℃を超え、朝7時には強い日差しが照り付け始め日中は35℃を超える暑さは本当に過酷な環境でした。
人参の種はどうしたら芽をだすの?
人参はお野菜の中でも一番と言っていいほど発芽がデリケートなお野菜です。
種の発芽には〝水〟〝酸素〟〝温度〟の3つがその種にとって適切であることが条件になりますが、人参は光好性種子と言ってその他に〝光〟が当たると発芽がしやすくなる性質があります。
そして〝水〟〝酸素〟〝温度〟の中でも〝水〟に対する要求量が多く、水分がしっかり保たれることでよく芽をだしてくれます。逆に言うと水分が少ないと極端に芽をだしにくくなります。
〝温度〟に関しては発芽適温は15~25℃で人間が快適なくらいの気温を好みます。もともと寒い環境が得意なお野菜なので35℃以上などあまりに暑くなるとこれも芽が出にくくなる要因になります。
〝酸素〟に関しては土が団粒化*していれば土の中には酸素がしっかり行き届きやすくなるので土つくりも大切になります。
※団粒化*…土が有機物を含み微生物に働きで大小の粒状になり適度な間隔をあけてくっついている状態、触るとフカフカでいい匂いのする山の落ち葉の下のような土は団粒化しています。
2024年の夏は梅雨時期に雨の量がとても少なく、まとまった雨がないまま梅雨明けし、その後は毎日快晴で日照り続きでした。
人参の発芽にとって大事な〝光〟は充分に保たれましたが、キーポイントになる〝水〟が自然に任せては得られない状況でした。
2024年の人参の種まき記録
気温も連日最高気温が35℃を超えていたので〝温度〟に関しても適さない環境が続いていました。
例年は7月20日を人参の種まきの基準日にして気温や雨の降り方で1週間前後で調整してながら種蒔きを行ってきました。
この記事を書いている5年前の2020年くらいからそのリズムが保ちにくいなと感じ始めていましたが、ついに前年の2024年には完全に通用しない環境になってしまいました。
2023年の夏も猛暑日が続いて暑かったですが、2024年は同じくらいの暑さに加えて雨が極端に少ないという違いがありました。
それでも初めの畝は例年に習って7月26日に種を蒔き、雨が降らないので毎朝、日の出前からできるかぎりたくさんの水まきを行いました。
1週間、10日、2週間と続けても人参の種は一向に芽を出さない日が続いていました。
適度な環境下では人参は7~10日で芽を出すお野菜です。
2週間を過ぎてさすがにおかしいと思い掘り起こしてみると、ほとんどの種がなくなっていたりたまに見つかっても少し根を出し止まっている状態でした。
次の畝は8月2日頃に種蒔きして同じように水まきをし、同じように早朝の水まきを続けましたが、同じ結果でした。
続いて8月10日頃の種まきは種まきから5日後くらいに一日で100mmくらいの大雨がありなんとか発芽はしましたが、その後の猛暑続きもあり発芽したのは全体の1~2割くらいでした。
人参は例年通りの気温では8月いっぱいまでに種を蒔くことで、収穫を迎える冬までに充分な大きさに育ちます。
種まきが9月に入ると大きく育つのが春先になるので、とう立ち*までの収穫期間がとても短くなってしまいます。
※とう立ち*…お野菜が花を咲かせるために茎を伸ばし始めること。人参の頭(葉のつけね)から茎が伸びてその先にきれいなレース状の白い花を咲かせます。人参はとう立ちが始まると根である人参の部分はひげ根が増えて硬くなり食味が良くなくなります。
8月の最終週になり台風の影響で雨が続いたので、最後の種まきを8月28日に行いました。
その時の雨量は6日間で450mmととても多く、一番降った日は1日で150mmを超える大雨でした。
畑のある神奈川県藤沢市では例年8月1カ月の雨量の平均値が120mmなんでそうとうな雨量でした。
発芽するのに充分な雨量でしたがあまりに短時間に降る集中的な強い雨の力で畑の土が大きく流れて、同時に種蒔きした人参の種もながされてしまうところも多くありました。
結果、2~3割の人参がそのまま芽を出してくれました。
その後の生長については次からの記事に続きます。
人参の発芽についてまとめ
今回は人参の発芽について書いてきました。例年通りはもはや通用しないなと思い調整してきましたが、2024年の人参についてはそれをはっきり認識させてくれる出来事になりました。
農業をやっていると地球が今まで通りではなく、まったく新しくなっていることを肌で感じます。
その新しい地球に順応しながら無農薬でお野菜を育てることは難易度は高くても、新しい発見がたくさんありすごくいい経験になります。
それを通じて経験したことやそこから得た自然界の法則などをこうしてお伝えしていきたいなと思います。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
また次の記事を楽しみにしていただけると嬉しいです。
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今年は気候の影響で収穫が1月いっぱいまでになりそうなので、おいしいうちにたくさんの方に食べていただきたいと思います。
「おいしくて幸せになる、おいしいにんじん」ぜひ食べてみて下さい!
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この記事を書いている人
三ツ橋大輔
1971年神奈川県横浜市生まれ
いのちのおやさい農園主
【プロフィール】
大学卒業後、建築設備の現場監督や型枠大工など建築関係の職種に携わる。
初めての工事現場に入ったとき地下二階分の深さまで大きく掘られた地面の穴に地球の痛みを感じ、ショックを受ける。
その後一度日本を離れてアジアの旅に出る。
主にタイ北部の山岳民族の村に滞在し自然と調和した暮らしを経験する。
タイの田舎で目の前で〆たばかりの鶏肉を使った家庭料理を食べ、あまりの美味しさに感動し日本に帰り30歳から料理の世界に入る。
大衆料理を目指し、横浜で中華料理の超人気店にて見習いからスタートする。
見習い時代、前菜で創作した合わせ調味料の味を店舗の総責任者に見込まれ、異例のスピードで鍋のポジションに抜擢され1日100食以上の鍋を振るう日々を送る。
調理場の責任者となり発注業務を行いながら毎日納品される野菜、肉、魚などの生鮮食材がまるで工場製品の様に均一化されていることへの違和感を感じる。
同時に「目の前にある食材はいったいどこでどのようにして育ちどうやって厨房に届くのか?」に関心を持ち始める。
2012年に「人生を変える」と決意する。
2013年オーガニックマルシェにて出店していた新規就農者を通じて「農業」という仕事に出会う。
自然農法の畑を訪れその世界感に魅了され突き動かされる衝動により農の世界へ進むことを決意する。
2014年から2年間、有機農家にて研修する。
2016年『いのちのおやさいfarmette』開園。
2023年 仲間と共に新たに 『いのちのおやさい 』をスタート。