無農薬のお野菜や有機野菜は安心感があるので、小さなお子様がいる方や自身の身体の為に生活に取り入れたいと思っている人もいるのではないでしょうか?
もしかしたら少しずつ取り入れ始めている人もいるかもしれません。
しかし、実際に購入しようとしてもなかなか販売しているところが見つからなかったり、取り扱っているお店があっても品数や種類が少ないこともあると思います。
「無農薬のお野菜が食べたい!欲しい!」と思った方が少しでも購入しやすいように、直売所のことを中心にその他の購入方法なども無農薬農家の僕からご紹介いたします。
なかなか身近にならない無農薬のお野菜
なぜ無農薬野菜は購入しにくいのでしょうか?このあたりは日本と海外でも事情がかなり異なりますが、日本の農業をとりまく状況から簡単にみていきます。
日本には無農薬のお野菜を育てている農園はどのくらいあり、無農薬や有機のお野菜は慣行農法(一般的な農薬や化学肥料を使う栽培方法)のお野菜とくらべてどのくらいの割合で育てられているのでしょうか?
畑の面積でみると、有機栽培の畑は全体の0.2%になります。ただしこれは有機JAS認定のみの面積になるので実際には0.6%というデータが公開されています。
お米に限っては0.1%以下になっています。海外と比べるとEU全体では7%、オーストリアでは23%なのでかなり少ないことが分かります。
さらに無農薬や有機栽培の収穫率は虫や病気などのリスクもあり、慣行栽培の40~85%になります。
ここから計算すると収穫量でみると無農薬や有機野菜は全体のお野菜のうち、0.2~0.5%になります。
この割合は例えばあるスーパーで売られているお野菜1000個のうち5個くらいが無農薬や有機野菜ということです。
このように日本では無農薬や有機農家の数が全体の農家の数に比べて圧倒的に少ないのが、無農薬野菜や有機野菜をなかなか見かけない一つの大きな理由になっています。
しかし時には、1000個お野菜を売っているスーパーでも無農薬や有機のお野菜を1個も見かけない場合もあります。
これには日本の農産物の流通事情も影響しています。
※数字は農林水産省、農畜産業振興機構などの資料にもとづき試算。
いつも食べているお野菜はお野菜はどうやって畑からやってきたの?
日本でお野菜は生産者から消費者に渡る経路は
生産者(農家)→出荷団体(JA、農協)→卸売市場(中央市場や地方市場)→小売業者(スーパーや八百屋)→消費者
というルートが約80%です。
その他に卸売市場を通さない
生産者(農家)→出荷団体(JA、農協)→小売業者(生活協同組合、スーパーや八百屋)→消費者
というルートもあります。
どちらにしても出荷団体(JA、農協)を通りますが、農協は無農薬野菜をほとんど取り扱っていないので、これらのルートでは無農薬野菜はほぼ流通しなくなります。
その他は
生産者(農家)→小売業者(スーパーや八百屋)→消費者
生産者(農家)→消費者
のルートになります。おそらく全体の10%以下になります。
無農薬野菜の絶対数が少ないうえに、流通が狭まっているので無農薬野菜は「限られた場所で、少量売られている」という状況になります。
では、実際にはどこでどのように売られているか?どうやって購入できるのかを見ていきます。
いろいろな農家さんの無農薬野菜が買える「オーガニックスーパー」や「オーガニック取扱店」
これは「生産者(農家)→小売業者(スーパーや八百屋)→消費者」が主なルートの購入方法になります。
農園のある神奈川県や都内では「F&F」や「ビオセボン」などが展開しています。
メリットは店舗の規模にもよりますが、いろいろな生産者を取り扱うので無農薬野菜販売の中では品揃えがよいこと、営業時間がはっきりしていることです。
デメリットは回転が良くなかった場合(とくに遠くの産地の物を仕入れている場合)に鮮度がおちてしまうところです。
近所にあれば利用しやすいですが、店舗数は多くないので行きにくかったり、行くまでに時間がかかる場合がありますが、お野菜以外にもオーガニックの商品を多数扱っている店舗が多いのでまだ行ったことがない方はぜひ一度訪れてみることをおすすめします。
新鮮なお野菜が買える「直売所」
直売所は分け方にもよりますが、大きく分けて2つの種類があります。
農家以外の団体が行ってる直売所と農家や農家の関係者が直接行っている直売所です。
最大のメリットは流通経路が短いのでとにかく新鮮なお野菜が手に入ること。
お野菜の美味しさは鮮度に直結するので、鮮度が良いだけで美味しいお野菜に出会えます。
最近は各地の農協が展開する、JAの直売所が増えてきました。
これは農家以外の団体が行ってる直売所で「生産者(農家)→小売業者(スーパーや八百屋)→消費者」ルートになります。
JAの直売所に近隣の農家さんが収穫して洗浄し袋詰めまで終えたお野菜を持ち込み、JAが農家に変わって販売するというスタイルです。
農家さんはJAに手数料を支払い販売委託している形になります。
メリットは大型店が多いのでお野菜の種類や取扱量が多いこと、卸売市場を通さないので価格が安いことです。
デメリットとしては無農薬の取り扱いが無いかとても少ないことです。理由は手間がかかるため適正価格が高くなる無農薬のお野菜が店舗のニーズに合わず販売に繋がりにくいことがあげられます。
次にオーガニックマルシェや店舗の前、畑の中で行われる直売所があります。
これは農家や農家の関係者が直接行っている直売所で「生産者(農家)→消費者」というルートになります。
オーガニックをテーマにマルシェやイベントの開催者がいてその中の1ブースで農家さんが出店する場合
・農家さんが何件か集まり開催している場合
・農家さんが単体で出店している場合
などなどいろいろなスタイルがありますが、ほとんどの場合は農家が自ら売り場に立つので生産者と消費者の距離が圧倒的に近い販売形態になります。
マルシェの開催者が代理で販売したり、共同出店の場合もあり購入するお野菜の生産者が売り場にいない場合もあります。
メリットは圧倒的に新鮮な無農薬のお野菜が購入できること。顔の見える関係性でお野菜を購入できるので安心感があります。お野菜について直接生産者に質問や会話することもできます。
デメリットは絶対数が少ないことと、開催期間が不定期だったり頻度が少ないこと、販売時間が限られることなどがあります。他にも農家が単体だったり少ないので端境期(お野菜の収穫量が少なくなる時期)には販売量が減ったり、開催が無いことがあります。
農家さんが畑でイベントを行いそこで購入できる場合もあったり、農家さんが飲食店も経営していてそこで扱う場合など探してみるといろいろな直売も見つかります。
新鮮な無農薬野菜の美味しさは格別です。とても貴重な場所にもなるので、近くで開催されるときはぜひ行ってみることをおすすめします!
いつでも無農薬野菜を購入できる「オンラインショップ」
その他にもインターネット経由で無農薬のお野菜を購入できます。
・販売サイトが農家から仕入れて販売してる場合
・オーガニックに特化した販売サイトに農家が出品している場合
・農家が自身のサイトで販売している場合
などいろいろなスタイルがあります。
「販売サイトが農家から仕入れて販売してる場合」は「生産者(農家)→小売業者(スーパーや八百屋)→消費者」のオンライン版になります。
オイシックスや生協各社の展開している販売形態がこれにあたります。
メリットは圧倒的に品揃えが良いこと、デメリットは取り扱いがすべてオーガニックではないことが多いので多数の商品から無農薬野菜を探すのに手間がかかること。
「オーガニックに特化した販売サイトに農家が出品している場合」「農家が自身のサイトで販売している場合」は「生産者(農家)→消費者」のオンライン版です。
発送は農家が購入者へ直接送ることが多いです。販売サイト経由の場合は購入者はサイトを通じて生産者へ連絡し、農家自身のサイトの場合は農家へ直接連絡をするスタイルになります。
どちらも生産者と消費者の距離がとても近いですが、農家自身のサイトの方がより近くなります。
メリットは新鮮な無農薬のお野菜が購入できること。いつでもどこでも購入が可能なことです。
デメリットはオンラインでも無農薬野菜自体の販売量が多くはないので、見つけるのに少し時間がかかることです。
送料もかかりますが、受け取りたい場所まで運ばれてくるので、無農薬のお野菜を実際に探して買いに行く手間と時間などを考えると得な場合が多いです。
販売サイトでは農家さんの栽培に対する姿勢や思いが詳しく記載されていると思うので、ゆっくり見てお気に入りの生産者を見つけるもの楽しいと思います。
農家さんはとても忙しく栽培に専念しがちなので、食べる方と直接コンタクトをとれることは喜びに繋がります。
ぜひ直売所へ!オーガニックスーパーやオンラインショップでも 無農薬のお野菜を食べてみましょう
なかなか身近になりにく無農薬のお野菜にもいろいろな購入方法があることを見てきました。
無農薬のお野菜は栽培にとても手間がかかり収穫率も低いので、販売価格は高めになります。
その中でも少しでも価格を抑えて購入したいのか、価格はしっかりしていても顔が見えて信頼のおけると感じた生産者から購入するのか。
その中でも少しでも価格を抑えて購入したいのか、価格はしっかりしていても顔が見えて信頼のおけると感じた生産者から購入するのか、選択枠は購入方法によりいろいろあります。
新鮮な無農薬のお野菜の美味しさはきっと食べた人に元気と幸せ感を与えてくれるでしょう。
この記事がすこしでも無農薬のお野菜が購入したい方に届けば幸いです。
この記事を書いている人
三ツ橋大輔
1971年神奈川県横浜市生まれ
いのちのおやさい農園主
【プロフィール】
大学卒業後、建築設備の現場監督や型枠大工など建築関係の職種に携わる。
初めての工事現場に入ったとき地下二階分の深さまで大きく掘られた地面の穴に地球の痛みを感じ、ショックを受ける。
その後一度日本を離れてアジアの旅に出る。
主にタイ北部の山岳民族の村に滞在し自然と調和した暮らしを経験する。
タイの田舎で目の前で〆たばかりの鶏肉を使った家庭料理を食べ、あまりの美味しさに感動し日本に帰り30歳から料理の世界に入る。
大衆料理を目指し、横浜で中華料理の超人気店にて見習いからスタートする。
見習い時代、前菜で創作した合わせ調味料の味を店舗の総責任者に見込まれ、異例のスピードで鍋のポジションに抜擢され1日100食以上の鍋を振るう日々を送る。
調理場の責任者となり発注業務を行いながら毎日納品される野菜、肉、魚などの生鮮食材がまるで工場製品の様に均一化されていることへの違和感を感じる。
同時に「目の前にある食材はいったいどこでどのようにして育ちどうやって厨房に届くのか?」に関心を持ち始める。
2012年に「人生を変える」と決意する。
2013年オーガニックマルシェにて出店していた新規就農者を通じて「農業」という仕事に出会う。
自然農法の畑を訪れその世界感に魅了され突き動かされる衝動により農の世界へ進むことを決意する。
2014年から2年間、有機農家にて研修する。
2016年『いのちのおやさいfarmette』開園。
2023年 仲間と共に新たに 『いのちのおやさい 』をスタート。