前回の記事では大豆の種まきについて大切なポイントをお伝えしました。
ここからは種まきした大豆がどのくらいで芽を出し、どのように育つのかを見ていきます。
育てる時の大切なポイントもお伝えします。
大豆栽培シリーズ記事
1.大豆栽培のポイント!種まき編~育てる時期から解説
2.大豆栽培のポイント!育て方編(前半)~どうやって育つの?
3.大豆栽培のポイント!育て方編(後半)~大豆はエダマメ?
大豆の発芽
まいた種が芽を出すことを「発芽する」といいます。
種まきした大豆が発芽するのに最適な温度は20~25℃です。
適温であれば4~5日で芽が地上に持ち上がり、1週間から10日で最初の双葉を広げます。
大豆のはじめの双葉
土の中の大豆は水分をすって大きく膨らみ 始めに根を伸ばしはじめます。
水分を含んで根を伸ばした種大豆は茶色から緑色に変わります。
次に根の延長が茎となり、緑になった種大豆を持ち上げ地上に顔をだします。
残っている茶色の皮をおとして、緑の種大豆は二つに割れて開き厚みのある丸い双葉となります。
この様に最初の双葉は大豆そのものなのです!
僕は初めて見た時にとても驚きました。
普通のお野菜は双葉は一組ですが、大豆は二種類の双葉をつけます。
これが最初の双葉になります。
この最初の双葉を子葉(シヨウ)と呼びます。
大豆のふたつめの双葉
その後も茎を伸ばし、もう4~5日で新たに先のとがった形の大きめの双葉を広げます。
このふたつめの双葉を初生葉(ショセイヨウ)と呼びます。
初生葉がでるのに種まきから10日~2週間くらいです。
ちなみに同じお豆でも、小豆は種豆を双葉として広げず地表に残したまま茎を伸ばます。
その後一組の双葉(初生葉)を広げます。
同じお豆の種類でも種豆を大豆の様に始めの双葉として広げるものと、小豆の様に広げないものがあります。
大豆はよほど種まき後に適度な雨があり条件がよほど悪くなければ、健康で元気な種はほぼ100%芽をだします。
芽を出してもうまく育たなかったり、虫に倒されたりして育たないものもあります。
一か所に5粒まいた種大豆はこうしてだいたい3~5本になって育ちます。
大豆の本葉
初生葉からさらに茎を伸ばしもう4~5日経つと、大きくて丸い3枚の葉を一度に広げます。
これが大豆の本葉です。
子葉、初生葉と明らかに形が違うのですぐに分かります。
子葉と初生葉は左右対称に葉を広げますが、本葉は片側ずつ葉を広げます。
大豆は30℃くらいまでの気候には耐えられるので、暑い夏の間グングン背を伸ばして成長します。
大豆の成長と手入れの仕方(間引き)
大豆はよほど種まき後に適度な雨があり条件がよほど悪くなければ、健康で元気な種はほぼ100%芽をだします。
芽を出してもうまく育たなかったり、虫に倒されたりして育たないものもあります。
一か所に5粒まいた種大豆はこうしてだいたい3~5本になって育ちます。
大豆は最初の本葉を広げた後も茎を伸ばしながら交互の向きで3枚ずつ本葉を展開していきます。
葉が増えるに従い、葉の表面積が大きくなるので太陽の光を受けて光合成が活発になりますます成長が促進します。
本葉が4~5本出るまでに、5粒蒔いた大豆を3本にします。
自然に3本以下になったところはそのままにします。
4~5本育ったことろは1~2本を根元から切って3本にします。
これを「間引き」と言います。
生命力の強そうなものを残し、それ以外を間引きます。
引っこ抜いて間引くと、残った大豆の根を傷つけてしまうので根元から切るようにします。
根元を切って残った根は土の中で分解して養分になります。
大豆の除草と土寄せ
大豆は最初の本葉を広げた後も茎を伸ばしながら交互の向きで3枚ずつ本葉を展開していきます。
葉が増えるに従い、葉の表面積が大きくなるので太陽の光を受けて光合成が活発になりますます成長が促進します。
大豆の成長と同時に周りの草も勢いよく育ってくるので、大豆の日当たりと風通しをよくするために大豆のまわりの草を刈ります。
草を刈ることを「除草する」と言います。
刈った草は大豆の根元(株元)に敷いておくと次の草が生えるのが穏やかになります。
枯れた草は土の上に置くことで地表の土壌微生物により分解されてゆっくりと養分になります。
大豆は地上の葉っぱが成長するとともに、土中にも根をはり養分を吸収します。
大豆の根には根粒菌と言って土の中の酸素から養分を吸収する菌が付き、その菌と共生して養分を得ます。
健康なお野菜は茎や葉などの地上部分と地表を境に上下対象になるくらいに地下に根を張ります。
根の形状は基本的にオクラなど上に真っすぐ伸びるお野菜は根も土中に真っすぐ伸び、カボチャの様にツルを広げて地面に這いつくばるように伸びるお野菜は広く浅い根を張ります。
大豆は上方向に背を伸ばして成長する割に、比較的浅めに根を張ります。
そのため大豆は背が高くなるほど強風で倒れやすいので、抑えるために大豆の両側の土を株元に寄せます。
これを「土寄せ」と言います。
土寄せすることで周りの土がほぐされて大豆の根に酸素が届きやすくなります。
土寄は軽い除草にもなります。
小さな草は埋もれてしまうので、そのまま埋めてしまいます。
大きな草が生えている時は一度除草してから土寄せしましょう。
土寄せは育つ段階で2回行います。
1回目…本葉が3~4枚、背丈が30センチくらい
2回目…本葉が7~8枚、背丈が50~60センチくらい
1回目は倒れ気味でなければ省略してもよいですが、2回目は行います。
1回目は茎の根元を少し埋める気持ちで、2回目は始めの子葉が埋まるくらいしっかり土を寄せます。
大豆は収穫までに台風シーズンもあるので、土寄せはしておいた方が安心です。
大豆の花
本葉が6~7本になるころから、花芽が出始めます。
花芽は茎から本葉が出ている付け根にいくつかまとまって出ます。
花芽が育つと蕾になりやがて花が咲きます。
花は茎から本場の出ている付け根にいくつかまとまって咲きます。
大豆の花は紫や白やピンク色で、小さなスイトピーのような形をしてとても可愛いらしいです。
お野菜は実を食べるものなのでお花はあまり注目されませんが、お野菜はどれも特有のお花を咲かせます。
花が咲く時期は種まきからだいたい2カ月くらいです。
大豆の花は5枚の花びらで左右対称の形をしています。
花びらの中には1本のめしべがあります。
めしべの根元にはお豆になる「子房(こぼう」という部分がついています。
そのめしべをとりまくように10本のおしべがあります。
おしべの花粉がめしべの先端につくと受粉が行われます。
大豆は同じひとつの花の中の中でおしべとめしべの受粉が行われます。
この仕組みを「自家受粉」と言います。
(それに対して例えば小松菜は別々の花のおしべとめしべの間で受粉します。
これを「他花受粉」と言います。)
おしべとめしべは5枚の花びらのうち2枚に包まれています。
外からは見えないくらいしっかり包みこまれています。
その外側にもさらに2枚の花びらが覆う様にあります。
のこりの1枚はおおきな花びらで全体を守っています。
大豆の花は5枚の花びらが、受粉は落ち着いて行われるようにおしべとめしべを守るつくりになっています。
上手く受粉すると花びらが落ちたあと、めしべの根元にある子房が育ちはじめます。
これが私たちが「サヤ」と言っている部分になります。
このサヤのなかには胚珠と言って種になる部分があります。
大豆の種はダイズのお豆そのものなので、めしべの根元には花が咲いている時からお豆になる部分が準備されています。
おしべの花粉がめしべの先端について受粉が起こると、子房(サヤ)と胚珠(お豆)が育ち始めます。
受粉の仕方でサヤの大きさと形などの形状、お豆の食味が決まります。
穏やかに受粉が行われると形が整った元気なサヤで美味しい大豆になります。
たくさん収穫するポイント①
サヤの中に豆が育つのでまず「良いサヤがどれくらいつくか」で収穫量が大きく変わります。
その為には「いかに受粉がスムーズに行われるか」が、たくさん収穫するポイント①になります。
ここで大事になるのが天気です。
開花の時期にあまりに晴天続きや高温、強風があると花びらが早く落ちてしまいます。
そうするとおしべとめしべを守るものがなくなり、受粉が上手くいかなくなります。
あまりに極端に花びらが落ちてしまうと、ほとんど収穫できないくらい不作だったこともあります。
成長段階では晴れを好みますが、開花のタイミングに雨が降ると実のつきが圧倒的に良くなります。
この時期は秋の長雨にあたるのでほとんど大丈夫ですが、空梅雨のような年は影響が大きく出ました。
適度に雨が降って、暑すぎず、穏やかな気候だと受粉は上手に行われたくさんのサヤをつけてくれます。
面積の小さな家庭菜園の人は開花の時期に雨がないようであれば夕方にジョーロで毎日お水を上げてみて下さい。
雨が降るのにはかなわなくても、何もしないのと比べてかなり違う結果になると思います。
ある程度の規模で育てている人は、水やりはしきれないと思います。
一つだけ人為的に調整できることは、秋の長雨に合わせて逆算して2カ月まえくらいに種をまくことです。
農園のある神奈川県では平均的に9月に入ると雨が多くなるので、だいたい7月に入ったらすぐくらいのタイミングでに種をまくようにしています。
秋の長雨が降るか降らないかは、、、天任せになります。
たくさん収穫するポイント①まとめ
たくさん収穫するポイント①をまとめると、、、
開花の時期に
・適度に雨が降ること
・強風や荒天ではなく穏やかな気候なこと
が大切になります。
大豆は根が浅めなため、土が乾燥すると水分不足を起こしやすくなります。
プランターなどではなく畑で直に育てている場合はよほど雨が降らず高温の状態続きにならない限り気にしなくて大丈夫です。
逆に先ほどの大豆の根につく根粒菌は土中の酸素から養分を作るので、土の水分が多すぎて湿りっぱなしだと酸素が回らず上手く養分が作り出せなくなります。
適度に雨が降って晴れた日が続く方が大豆はよく成長します。
大豆が芽を出してからサヤが付くまでを見てきました。
そのままサヤが育つとどうなるのでしょうか?
次の記事で見ていきましょう。
大豆栽培シリーズ記事
1.大豆栽培のポイント!種まき編~育てる時期から解説
2.大豆栽培のポイント!育て方編(前半)~どうやって育つの?
3.大豆栽培のポイント!育て方編(後半)~大豆はエダマメ?
この記事を書いている人
三ツ橋大輔
1971年神奈川県横浜市生まれ
いのちのおやさい農園主
【プロフィール】
大学卒業後、建築設備の現場監督や型枠大工など建築関係の職種に携わる。
初めての工事現場に入ったとき地下二階分の深さまで大きく掘られた地面の穴に地球の痛みを感じ、ショックを受ける。
その後一度日本を離れてアジアの旅に出る。
主にタイ北部の山岳民族の村に滞在し自然と調和した暮らしを経験する。
タイの田舎で目の前で〆たばかりの鶏肉を使った家庭料理を食べ、あまりの美味しさに感動し日本に帰り30歳から料理の世界に入る。
大衆料理を目指し、横浜で中華料理の超人気店にて見習いからスタートする。
見習い時代、前菜で創作した合わせ調味料の味を店舗の総責任者に見込まれ、異例のスピードで鍋のポジションに抜擢され1日100食以上の鍋を振るう日々を送る。
調理場の責任者となり発注業務を行いながら毎日納品される野菜、肉、魚などの生鮮食材がまるで工場製品の様に均一化されていることへの違和感を感じる。
同時に「目の前にある食材はいったいどこでどのようにして育ちどうやって厨房に届くのか?」に関心を持ち始める。
2012年に「人生を変える」と決意する。
2013年オーガニックマルシェにて出店していた新規就農者を通じて「農業」という仕事に出会う。
自然農法の畑を訪れその世界感に魅了され突き動かされる衝動により農の世界へ進むことを決意する。
2014年から2年間、有機農家にて研修する。
2016年『いのちのおやさいfarmette』開園。
2023年 仲間と共に新たに 『いのちのおやさい 』をスタート。