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かつお菜の葉を並べた 

かつお菜とはどんなお野菜?食べ方やおすすめレシピをご紹介

かつお菜について

皆さん「かつお菜」という葉物野菜をご存じですか?僕は農業をはじめて初めて知りました。
市場にほとんど出回らないため、農園のある関東地方ではスーパーや八百屋さんでは見かけることはありませんが、栽培して食べてみるととても美味しいのでご紹介します。
大きな見た目と裏腹に柔らかくてアクがなく扱い方も簡単で、どんな食べ方でも美味しく食べられますが最もおすすめの食べ方もご紹介します。

畑のかつお菜

 

かつお菜とは

かつお菜は小松菜や白菜、高菜などと同じアブラナ科のお野菜で、高菜の仲間にあたる大型の葉物野菜です。
肉厚で大きなものは葉の長さが40~50cmくらいになりボリュームがあります。
最大の特徴は浮遊アミノ酸を含むところ、ほかのお野菜にはないグルタミン酸やアスパラギン酸といった旨味成分の含有率が高いところです。
昆布に含まれるグルタミン酸と鶏肉やマグロに多く含まれるアスパラギン酸を多く含むので、葉物野菜でありながら旨味や風味まで楽しめます。
鮮やかな濃い黄緑色があらわすようにβ-カロテンを多く含み、ビタミンCも多く、他の野菜と比較しても多くのカルシウムを含みます
かつお菜は一般の葉物野菜と比較して抗酸化作用が高く、加熱しても抗酸化性は低下しません。
お野菜だけで出汁のある美味しさが楽しめ、栄養価が非常に高いのでビーガンの方にもおススメのお野菜です。

 

かつお菜の産地は?名前の由来と特徴について

九州福岡博多地方で昔から盛んに育てられてた伝統野菜です。
福岡県のお雑煮には欠かせない存在で、煮ると鰹出汁がいらないくらい濃厚な出汁がでるで「かつお菜」と名付けられたと言われています。
感字では「勝男菜」の字があてられ、「全てに勝つ」という意味で縁起の良いお野菜とされています。
福岡県ではポピュラーですが他県では見かけることがなく、全国的には小松菜やほうれん草への転作が進んだため九州以外ではほとんど知られていません。
しかし、このかつお菜や同じく福岡県南部築後地方の三池高菜や信州の野沢菜など、その土地に根付き愛されている伝統野菜は独特の美味しさや栄養成分を多く含むものが多いです。

 

旬な時期はいつ頃?

かつお菜は収穫期間中いつでも美味しく食べられますが、最も美味しいのは12~2月です。寒さが強い時期が旬なので地方によって異なりますが関東では1~2月になります。
9月に種をまき10月から収穫が始まり、11月くらいまでは若い株を間引いて収穫します。生産地ではこの若くて小さな株はまとめてハザにして(束ねて)たものが出回ります。
12月は葉も大きくなり寒さにあたり甘みが増し始め、1~2月は厳しい寒さを越して甘く柔らかく最も美味しくなります。
葉物野菜は寒さのなか育つことで、自身の体内にあるデンプンを糖に変えて凍結しにくくします。また体内の水分も放出して水分量自体も減らします。
それでも氷点下になる夜半にはカチカチに凍り、日中溶けてを繰り返すことで細胞が壊れます。
その為、寒さにあたった葉物野菜は甘く柔らかくなり、栄養価も凝縮され増します。
露地栽培(ハウスではなく野外での畑で栽培)では寒さが厳しい時期は青梗菜やルッコラなど柔らかい葉物野菜は寒さにより葉の痛みが出てしまいますが、
かつお菜や高菜、ホウレン草やスイスチャードなど耐寒性のある葉物野菜は元気に育ちます。
かつお菜は寒い時期こそ楽しめる真冬のお野菜と言えます。

霜で凍るかつお菜

 

 

かつお菜の選び方は?気になる味はというと

葉が濃い黄緑色でツヤがよく葉のチリチリした縮れが細かいものがよいです。縮れが多いほど食感がよいです。
かつお菜は20cmくらいの小さな株から大きくなると葉の長さは40~50cmにもなります。
若くて小さ株は柔らかくあっさりした美味しさで、大きいものは葉も茎も肉厚になり甘さと旨味がましてしっかりした味わいです。
高菜の仲間ですが辛みはなく、アクやクセも少なくほんのり甘みがあります。加熱することでさらに甘みが感じられます。
肉厚でチリチリの縮れに旨味が凝縮しているので噛めば噛むほど美味しいです。

チリチリなかつお菜の葉

 

どこで買えるのか?気になる値段はいくら?

福岡県近郊では大きな葉を3~5枚束ねたもの(150~200g)がスーパーや八百屋さん、直売所で売られ、一束250~300円が相場です。
大きく育ったかつお菜はサンチュのように、外葉を1枚ずつかきとって収穫するのでこのように束にして売られています。
とても美味しいお野菜ですが、残念ながら福岡県近郊以外ではなかなか目にする機会が少ないので、それ以外の地域にお住まいの方はネットショップで購入することをおすすめします。

かつお菜のお野菜セット

 

かつお菜の食べ方

お浸しや塩もみ、和え物、汁物、炒め物、和え物、煮物、お漬物やお鍋など、どんなお料理でも美味しく食べられます。
中でも一番のおススメは汁物、とくにお味噌汁です。
かつお菜のもつ香りのよい出汁の旨味と風味が楽しめます。
見た目よりも柔らかくなるのが早いので、一般的な葉物野菜と同じくらいの加熱時間で大丈夫ですが、煮込んでもまた美味しいので翌日でも美味しく食べられます。
その他は炒め物、塩もみに相性が良いです。

 

おすすめのかつお菜レシピ

始めに、かつお菜を使った一番のおすすめのレシピをご紹介します。

出汁の味にびっくり「かつお菜のお味噌汁」
大根や人参、牛蒡など冬の根菜とあわせ、かつお菜はたっぷり入れると他に出汁を入れなくてもお野菜だけで感動するほど美味しいお味噌汁ができあがります。
根菜類はあるお野菜だけでよいですが、大根と人参は必ず入れ、その他牛蒡や里芋などある具材を入れる感じにします。牛蒡は出汁がでるので、あるときはぜひ入れます。

かつお菜のお味噌汁



〈材料一覧〉
・かつお菜
・人参や大根などの根菜
・お味噌

材料はたったこれだけ。さあ、作っていきましょう!

〈作り方〉
・根菜類はお湯かお水でよく洗い一口大に切る
 お鍋に切った根菜を入れ、根菜の高さの1.5~2倍くらいのお水を入れ
 フタをして水から火にかけて中強火にかける
 沸いたらフタを開けてアクをとる


・中強火で沸かしたまま出てくるアクをとる。(アクとりをするとあっさりと仕上がります。)
 アクがだいたいでなくなったら再びフタをして弱火に落として20~30分火煮る

・かつお菜はお湯かお水でよく洗い、茎と葉を手でちぎるように切り離す

手でのかつお菜の切り方



・茎は一口大、葉はもう少し大きめに切る

包丁でのかつお菜の切り方

・20~30分たったら根菜は充分柔らかくなっているので
 かつお菜の茎を入れてフタをして強火にして沸くまで火にかける

・沸いたら葉も入れて同じようにフタをして沸くまで強火にかけ
 沸いたらフタをとりアクがあればとりのぞき、フタをして5分火にかける

・フタをあけてお味噌を入れ
 フタをして弱火のまま一息おく
 ※こうするとお味噌が柔らかくなって溶きやすくなります

・お味噌をよく溶いてできあがり
 おいしいかつお菜のお味噌汁の完成です

さあ、召し上がれ!

かつお菜のお味噌汁いただきます



ポイントは水分量に対して根菜もそしてかつお菜もたっぷり入れること。
根菜をいれたカサの1.5~2倍くらいの水分量にするとお野菜だけで充分な味わいになります。極端にいうと「煮物かな?」と思うくらい具材を多めにします。
水分量が多い時はきのこや油揚げなど、他にも出汁の出るものを入れるとよいです。
かつお菜は特徴として、かつお菜そのものから出汁がでるのに、ほかの出汁の味も邪魔しません。
ただし、かつお菜の味わいを楽しみたいので、ここでは他の出汁は適量までにします。
しかし、一番のおすすめは水分量控えて具材たっぷりにしてかつお菜と根菜類だけの作り方です。

同じ作り方で小松菜や水菜、白菜などほかのお野菜でも同じように試してみましたが、明らかにかつお菜は出汁の出方が違いました。
ほかのお野菜はきのこや鰹節など出汁のでる食材を入れないとあっさりしすぎてしまうのですが、かつお菜で作るとどっしり出汁のある味わいになります。
そしてこのお味噌、なんと翌日でも美味しいのです。
かつお菜は煮込んでも美味しいので、翌日はむしろ煮込まれた美味しさを楽しめます。
かつお菜のお味噌汁は寒い時期にカラダと心にに沁みて格別です。

その他にもあと2つ「かつお菜によく合うレシピ」をご紹介します。

お野菜だけで立派な一品に「かつお菜の炒め物」
油との相性も良いので少し多めの油で炒め、お塩味で味付けし仕上げに少しお醤油を入れると香りよく出来上がります。
ごはんのおかずにピッタリですし、冷めても美味しいのでお弁当にもよいです。

さっぱりいい風味で美味しい「かつお菜の塩もみ」
しんなりして茎が柔らかくなるまで茹で、水にさらし、水気を絞り一口大に切り、お塩をまぶします。
食べる時に少しお醤油をかけて、ご飯と共に食べるととてもよく合います。もっとコクが欲しい時は胡麻油など香りのよい油を少量かけます。
冷蔵庫に入れておくと、もうちょっと何か欲しいなというときの常備菜になります。

福岡県以外ではあまり見けることのない「かつお菜」ですが、食べた人が増えれば大人気のお野菜になると思います。
ほかのお野菜にはない出汁のある味わいを楽しめますのでぜひ手に入れて食べてみることをおすすめします。
家庭菜園をされている方は、とても丈夫なお野菜なのでぜひご自身で育てて食べてみて下さいね。

 

この記事を書いている人

ecプロフィール大輔

三ツ橋大輔
1971年神奈川県横浜市生まれ 
いのちのおやさい農園主

【プロフィール】
大学卒業後、建築設備の現場監督や型枠大工など建築関係の職種に携わる。
初めての工事現場に入ったとき地下二階分の深さまで大きく掘られた地面の穴に地球の痛みを感じ、ショックを受ける。
その後一度日本を離れてアジアの旅に出る。
主にタイ北部の山岳民族の村に滞在し自然と調和した暮らしを経験する。
タイの田舎で目の前で〆たばかりの鶏肉を使った家庭料理を食べ、あまりの美味しさに感動し日本に帰り30歳から料理の世界に入る。
大衆料理を目指し、横浜で中華料理の超人気店にて見習いからスタートする。
見習い時代、前菜で創作した合わせ調味料の味を店舗の総責任者に見込まれ、異例のスピードで鍋のポジションに抜擢され1日100食以上の鍋を振るう日々を送る。
調理場の責任者となり発注業務を行いながら毎日納品される野菜、肉、魚などの生鮮食材がまるで工場製品の様に均一化されていることへの違和感を感じる。
同時に「目の前にある食材はいったいどこでどのようにして育ちどうやって厨房に届くのか?」に関心を持ち始める。
2012年に「人生を変える」と決意する。
2013年オーガニックマルシェにて出店していた新規就農者を通じて「農業」という仕事に出会う。
自然農法の畑を訪れその世界感に魅了され突き動かされる衝動により農の世界へ進むことを決意する。
2014年から2年間、有機農家にて研修する。
2016年『いのちのおやさいfarmette』開園。
2023年 仲間と共に新たに 『いのちのおやさい 』をスタート。

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