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収穫した人参

人参の栄養素や種類について解説 農家が知ってる旬の美味しさをご紹介!

にんじんはあると助かるお野菜、とは言ってもあまらせ気味⁉

袋に入った人参

人参は保存が効き、いろんなお料理に使える便利なお野菜だと思います。さまざまな他のお野菜や食材と組み合わせることでお料理に彩りと特有の味わいを加えてくれる万能野菜です。
とは言え「人参だけしかない」となった時になかなか料理法にこまるお野菜ではないでしょうか?
今回は人参とはどんなお野菜なのか?美味しい時期はいつ頃?どんな特徴があるのか、吸収のよい食べ方から人参をメインに使った調理法までお伝えいたします。
私たちいのちのおやさいでは人参が一番人気で毎年必ず育てています。初期生育はデリケートですが、一旦育ち始めると農薬を使わなくても虫や病気にも強く丈夫に育つお野菜です。
ただアゲハチョウの幼虫は人参葉が大好物で葉っぱをモリモリたべちゃいます。大量発生はしないので栽培上問題にはならないですが、見つけた時はそっと手でつまんで別の場所に離します、笑
もともと日本では「人参」というと「朝鮮人参」を指していました。根分かれする姿が「人」という漢字に似ていることから「人参」と名前がつきました。
その後日本に入ってきた今の「にんじん」は根が当時の「人参」に形が似ていて、葉がセリのようだったので「セリ人参」と呼ばれていましたが、その後主流になったので「セリ人参」は「人参」と呼ばれるようになりました。
人参はスーパーや八百屋さんで一般的にみられていつも食べているオレンジ色の西洋種とお正月料理などに使われる金時人参などの東洋種があります。
もともとは同じ種類でしたが世界に広がる時の通ってきた道によって形も色もちがう種類ができあがりました。
日本には2つのルートから入ってきたので西洋種と東洋種の2つの種類があります。
ではなぜ今は西洋種ばかりなの?まず人参の歴史から見ていきましょう。

 

美味しい旬はいつ?にんじんの特徴

いろいろな種類の人参

人参の原産はアフガニスタンと言われ、ヨーロッパを経由してアメリカに伝わった西洋種とインドを経由して中国に伝わった東洋種に分かれました。
西洋種は始めは江戸時代末期にヨーロッパから直接長崎に伝り、その後明治時代にアメリカから伝わりました。オレンジ色で現在の日本に流通しているのは西洋種です。
東洋種はそれより前、江戸時代に中国から東洋種が伝わりました。赤、紫、白、黒など色鮮やかで現在は金時人参や沖縄の島にんじん、紫にんじんが栽培されています。
東洋種は栽培期間が長く形が細長いため掘るのが大変なので、現在は東洋種に比べて栽培期間が短く収穫の効率性のよい西洋種が日本では主に流通しています。

収穫後の人参
この先は主に出回ってるオレンジ色の西洋種についての話となります。
人参は春に種を蒔き初夏に収獲する夏人参と秋に種を蒔き冬に収獲する冬人参がありますが、人参は性質的に生育するときに秋の方が気候が合っているため冬人参のほうが品質がよくなります。
さらに冬の寒さにあたることで甘みや味わいが増し、より美味しくなります。
いのちのおやさい農園のある神奈川県では冬人参は7~8月に種を蒔き、10月からは葉つきのミニ人参、11~2月に人参として収穫します。
夏人参は3月に種をまき、6月に葉つきのミニ人参、7月に人参を収獲します。
一年を通じて美味しいのは10~2月の間、10月の採れ始めはあっさりして食感よく若々しい美味しさです。
寒さにあたると甘みと味わいが増すので、11月くらいから甘みが増しはじめ12月にかけて状態が安定して最も美味しい成熟期を迎えます。
1~2月は日中の温度が上がってくるのでひげ根が出始めますが、朝晩の強い寒さにあたって甘みもさらに増して熟成した美味しさになります。
じっくり火を通すことで更に甘さが増すので、汁物にすると冬の寒さの中で甘くカラダを温めてくれます。
6~7月の夏人参は甘みと旨味の部分はどうしても冬人参に軍配が上がりますが、あっさりしていて食感が良いので生で食べるのに向きます。
これはこれで暑い季節にとても美味しく感じます。

 

にんじん皮は透明⁉にんじんの栄養をめいっぱい吸収する方法

洗った人参

実はにんじんの外皮は透明だと、研修時代に研修先の農家のお母さんから教わりました。
試しに掘った人参の土を落としてよくこすって洗いきれいにしてから、包丁の背でほんの軽く表面をこそげてみると白っぽい皮がとれたので本当だと分かりました。
そのお母さんが研修中のお昼ごはんに作ってくれたお料理を食べて、この薄皮の付近に美味しさや栄養素がつまっていることも知りました。
人参は成長するときは中心部の方から葉に栄養素が行くので、中心部よりも外側に行くほど栄養成分が多くなります。(この仕組みは根菜類はみな同じです。)
β-カロテンは中心部よりも皮付近には2.5倍も多く含むといったデータもみられます。
市場にでまわってる人参は農家さんが農協や市場に出す前に人参洗い機にかけているので薄皮が剥けて皮が半分剥けた状態になっています。

人参の栄養成分としてみると特徴的なのはβ-カロテンがとても多いこと。β-カロテンは体内で足りない分だけビタミンAに変換されます。
ビタミンAは「目のビタミン」とも言われ、瞳の潤いを保ったり、暗いところで見る力になったりして目の健康に深い関わりがあります。
またビタミンAはタンパク質を合成する働きがあるので、皮膚やその他の粘膜もつよくしてくれます。
その他には食物繊維やカリウムやカルシウムといったミネラル成分も含まれるので、整腸作用があり免疫力もあがります。

人参は加熱することで硬い細胞壁が壊れて栄養素の吸収率が上がります。
またβ-カロテンから変換されるビタミンAは脂溶性のビタミンなので、人参を油を調理するとβ-カロテンはとても効率よく吸収されます。
人参の栄養素をめいっぱい吸収するには「皮ごと」使うこと。お料理の時は「まず加熱」そして「油で加熱」すると最高です。
では効率よく栄養が吸収できて、美味しく人参をたべられる調理法を簡単にご紹介します。

 

美味しく食べる方法をご紹介

揚げ人参イメージ

人参は汁物、煮物、炒め物、蒸しもの、揚げ物すべてに使えますが、ここでは元中華料理人で現農家である僕が日常よく食べている人参メインに使った簡単でシンプルなお料理をご紹介します。

 

まずは蒸し物から「皮ごとゴロンと蒸し人参」

蒸し人参

人参の美味しさをシンプルにギュッと味わえます。

〈材料一覧〉
・人参

材料は人参これだけ!では、作っていきましょう。

〈作り方〉
・人参は皮ごとよく洗い、大きめの一口大に切る。
※思い切って大きめにゴロンと切った方が美味しいです。ただお口の大きさによって食べやすさもあるので適度にします、笑

・蒸し器に入れて、水から強火で蒸す。

・蒸気がしっかり上がったら中~中強火にしてそのまま蒸す。
※強い火で蒸したほうが美味しく仕上がります。
※蒸し時間の目安は大きさにもよりますが15~20分。

・フォークやお箸をさしてスッと楽に入るくらい柔らかくなったら出来上がり!
※よく蒸したほうが甘みが引き出ます。

熱々を「いただきます!」
ほくほく優しい甘さが最高です。
そして冷めても美味しく食べられます。
新鮮で美味しい人参は何もつけなくても格別です。味変はお塩が良いです。
コクをつけたい時は香りのあるオリーブオイルや胡麻油をちょっとつけます。
ご飯に蒸しを人参のせてお塩かけて、ごま油もかけて食べると立派なおかずになりますよ。


次に「驚きの美味しさ!揚げ人参」

揚げ人参

人参の甘みと旨味+コクでビックリの美味しさです。
〈材料一覧〉
・人参
・油

こちらも材料は人参これだけ!さあ、作っていきましょう。

〈作り方〉・人参は皮ごとよく洗い、一口大に切る。

揚げ人参の作り方1


・フライパンに油を熱しはじめ中火にかけて、油が冷たいうちにすぐ人参をいれる。
※中火で油を沸かすように揚げていきます。
※油は人参がひたひたになるくらいの量でOKです。

 

揚げ人参の作り方2

・始め沈んでいた人参が浮いてきたら、ときどき軽くかき混ぜて様子をみながら揚げていきます。
※「出来るだけ強火で」くらいの気持ちで始めは中火で揚げていき、強いようなら一度弱火にして調整します。
※途中浮いてこないものがあったら底に張り付いているかもしれないのでフライパンを揺すってはがします。

 

揚げ人参の作り方3
・表面に色がついて、油の気泡が細かくなったらOK。
 火を弱めてキッチンペーパーの上に取り出します。
※パチパチ音がして香りが立つのも揚げあがりの目安。
※揚げ時間の目安は人参の量やフライパンの大きさにもよりますが7~12分くらいです。

揚げたてを「いただきます!」
表面が香ばしくて、ホクホクして中心部まで柔らかく甘みがあれば最高です。
硬い場合は今度からもう少し火を落として時間をかけて揚げます。
びちょびちょする場合は今度から火を揚げて時間を短くして揚げます。
何度か作るうちにきっと丁度良い火力の塩梅が見つかるのでやってみてくださいね。
揚げ物は油の使いまわしや洗い物など手間がかかりますが、それを超える超絶な美味しさが楽しめます。

そして、この揚げ人参の揚げ油はとても良い香りがうつった「人参の香り油」になります。

人参の香り油
冷まして便などに入れておき、炒め料理の仕上げに加えるといつもの炒め物に豊かな香りが加わりめちゃくちゃ美味しくなります。
納豆や厚揚げや冷奴、葉物のお浸しなどお醤油をかけて食べる時に少量たらしてもいつもとまったく違う一品になります。


以上の2品は超シンプルなので、人参そのもの美味しさがそのままダイレクトに楽しめます。
油やお塩、お醤油などの調味料は丁寧に作られたものを使うと格段に美味しく仕上がります。
お塩はミネラルを含んだ天然塩、お醤油は天然醸造のもの、揚げ油は圧搾の菜種油がおすすめです。
人参は無農薬で新鮮なものを皮ごと使うのが最も美味しいので、無農薬農家さんから直売所や産直で買える場合は是非手に入れて作ってみて下さいね。
きっと今まで食べたことのない人参の美味しさを発見できると思います。

 

この記事を書いている人

ecプロフィール大輔

三ツ橋大輔
1971年神奈川県横浜市生まれ 
いのちのおやさい農園主

【プロフィール】
大学卒業後、建築設備の現場監督や型枠大工など建築関係の職種に携わる。
初めての工事現場に入ったとき地下二階分の深さまで大きく掘られた地面の穴に地球の痛みを感じ、ショックを受ける。
その後一度日本を離れてアジアの旅に出る。
主にタイ北部の山岳民族の村に滞在し自然と調和した暮らしを経験する。
タイの田舎で目の前で〆たばかりの鶏肉を使った家庭料理を食べ、あまりの美味しさに感動し日本に帰り30歳から料理の世界に入る。
大衆料理を目指し、横浜で中華料理の超人気店にて見習いからスタートする。
見習い時代、前菜で創作した合わせ調味料の味を店舗の総責任者に見込まれ、異例のスピードで鍋のポジションに抜擢され1日100食以上の鍋を振るう日々を送る。
調理場の責任者となり発注業務を行いながら毎日納品される野菜、肉、魚などの生鮮食材がまるで工場製品の様に均一化されていることへの違和感を感じる。
同時に「目の前にある食材はいったいどこでどのようにして育ちどうやって厨房に届くのか?」に関心を持ち始める。
2012年に「人生を変える」と決意する。
2013年オーガニックマルシェにて出店していた新規就農者を通じて「農業」という仕事に出会う。
自然農法の畑を訪れその世界感に魅了され突き動かされる衝動により農の世界へ進むことを決意する。
2014年から2年間、有機農家にて研修する。
2016年『いのちのおやさいfarmette』開園。
2023年 仲間と共に新たに 『いのちのおやさい 』をスタート。

    

 

 

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