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蒸し里芋

「蒸し」「揚げ」「焼き」「汁物」すべてご紹介!元料理人農園主が教える里芋の美味しい食べ方 一番おすすめのレシピ

食べだしたら止まらない!里芋の最高に美味しい食べ方

器に入った蒸し里芋

寒い季節に食べる里芋って、ほっくりして美味しいですよね。
そんな里芋を育てている農家の僕が、冬の間毎日のように食べている里芋のシンプルで美味しい食べ方をご紹介します。
さつまいもやジャガイモと比べるとちょっと地味な存在で、直売所でも「扱い方がよくわからない」「皮を剥くのが大変で、、、」というお声をよく聞く里芋。
実はコツを知っていればとっても簡単に美味しく食べられるお野菜なのです。
皮の剥き方もらくらく上手に出来ちゃいます。
一番おすすめの食べ方は「蒸し里芋」
とびきり美味しく仕上がる蒸し方もご紹介します。
では作っていきましょう!

まずはここから!「蒸し里芋」

里芋を手にしたら「まずは蒸す」。
いきなり答えが出ちゃいますが、これが里芋を簡単に美味しくお料理する最大のコツです。
美味しさも栄養素もにげないだけでなく、いいことがたくさんあります。
では、作っていきましょう。

まずは里芋を洗います。

里芋洗い1
ボールに里芋を入れてお湯を入れ、手で揉むようにゴリゴリ洗います。
ボールの大きさは里芋でまんぱんになるくらいのピッタリサイズで充分です。
ゴリゴリゴリゴリゴリゴリ、、、

里芋洗い2
お湯が土で濁るので、何度か取り換えて土の濁りがだいたい出なくなるまで繰り返し洗います。

里芋洗い3
完全にお湯が透明にならなくても、だいたい透明になるくらいまでで大丈夫です。

里芋洗い4
このくらいで大丈夫、あまりゴリゴリしすぎても掘りたての物は皮がむけてしまうので様子をみながらゴリゴリします。
かなり手に摩擦がかかるので肌がデリケートな方はゴム手袋をしてくださいね。

洗えたらザルにあけて少し水気を切り、たっぷりのお水を入れた蒸し器にいれます。
蒸すときは必ず蒸し器を使います。
蒸し器は手間をかけずに美味しく簡単に美味しくお野菜を食べる必須アイテム。
持っていると絶対お得なのでお持ちでない方はぜひ手に入れてください。
あとは蒸すだけ。
ただ蒸すだけなのですがちょっとしたポイントを守るだけで食感も美味しさも各段にアップします。

「蒸し里芋」
・蒸し器に入れた里芋をお水から強火にかけ、沸くまで蒸す
※しっかり蒸すのでお水はたっぷりと入れる
※地面より下に実るもの=お芋や根菜類はお水から火にかけて煮たり、蒸したりします

・沸いたら中~中強火に落として、15~30分くらいそのまま蒸す
※蒸気がしっかり出るくらい強めの火加減にする
※里芋の大きさによって蒸し時間は変わります
 〈蒸し時間の目安〉
 小サイズ…10~15分
 中サイズ…20分くらい
 大サイズ…25~30分

蒸し里芋柔らかさチェック
・お箸をさしてスッとはいるくらいになっていたら出来上がり

さぁ、蒸したてが最高「いただきます!」
熱々は美味しいですが、熱すぎるてお口の中が火傷するといけないのでご注意してください、笑。
何個でもパクパク食べられちゃうおいしさです。

上手にできる!里芋の簡単な皮の剥き方

蒸してツルっと皮がむけた里芋

蒸した里芋の皮をつまんでギュッと押し出すようにすると、ぷりっと中身が出てきます。
特に蒸したては軽い力で楽に出てきます。(蒸したては持つと熱いので手にも気を付けてください)
これが超簡単な里芋の皮の剥き方です。
ご経験の方も多いと思いますが、里芋は生の状態で皮を剥くととても力が入ります。
しかもぬめりがあるので滑ってしまいめちゃくちゃ剝きにくいです。
和食で形を整えるためにわざと厚めに皮を剥くパターンもありますが、薄く剥きたくてもどうしても厚剥きになってしいします。
僕が研修を受けた農家のお母さんもお料理の際は「里芋の皮むきがいちばんしんどい」と言っていました。
それがこの方法だと手でちょっとつまんだだけで簡単に剥けてしまう、しかも超薄皮でというより本当に皮だけが取れてくれます。
蒸し里芋の皮の剥けやすさは、鮮度がよいほど簡単にぷりっと中身が出てきます。
反対に言うと楽に剝けるかどうかが(品種によっても差があるので一概には言えないですが)一つの鮮度の指標になります。

おいしい里芋の食べ方

蒸したてを食べる場合はまずは何もつけずにそのままパクっと食べると、里芋の本来の味わいが楽しめます。
ちょっと味に慣れてきたら味変でお醤油をつけて食べるのが合います。
コクが欲しかったら胡麻油やオリーブ油など香りのよい油をほんの少量たらすだけでまったく印象が変わります。
ちょっと多めのお醤油と香り油をつけると、しっかりご飯のおかずになっちゃいます。
蒸し里芋は、ちょっと味変するだけでいろんな楽しみ方が出来ます。

そして蒸して皮を剥いた里芋はもちろんこの様にそのまま食べてもよいのですが、さらにそこからいろいろなお料理にアレンジできます。
皮がむけた状態なので、煮物、焼き芋、汁物へと簡単に変身させることが出来ます。
里芋の「蒸してからの里芋料理」はのちほど具体的なレシピにてご紹介します。

 

調理法によってそれぞれ違う 里芋に合う味付け

里芋は調理法によって合う味付けがはっきり変わります。
・「蒸す」「煮る」にはお醤油味
・「焼く」「揚げる」には塩味
・「汁物」には味噌味
蒸し里芋からのアレンジメニューで見ていきましょう。

 

食材も調理もシンプルでOK!おいしい里芋おすすめレシピ

キッチンライフが楽しくなる美味しいレシピをご紹介します。

まずは煮物から。
蒸し里芋からの「里芋の煮物」
いつも生からやっていた里芋の煮っころがしを蒸し里芋に変えるだけです。
始めから煮物用に里芋を蒸すときは、蒸し時間を半分くらいに硬めに蒸し上げます。
しっかり蒸した里芋で作る場合は厚めの輪切りなど、小さめに切ります。
僕は中華料理出身なので中華風の里芋の煮物レシピをご紹介します。
甘みを加えずシンプルにお野菜の甘さを楽しむ仕上げです。

〈材料一覧〉
・里芋
・あれば生姜、長ネギ(青い葉でも可)
・お酒
・お醤油

材料はこれだけ。さあ、作っていきましょう!

〈作り方〉
・蒸して皮を剥いた里芋を適度な大きさに切る
 生姜と長ネギは荒みじんにする

・フライパンか深鍋に油をしいて
 生姜と長ネギを炒め香りがたったら
 里芋を入れて炒める
※生姜と長ネギがない場合は最初に里芋を入れてOK
※フライパンの場合は中強火、焦げやすいので中弱火で様子をみながら炒める

・全体に油が回って、少し焦げ目がついたら
 お酒を入れ、ひたひたくらいのお水かお湯を入れ
 お醤油で味付けをして、強火で沸かす
※ステンレスアルミの場合はあまり焦げ付くようなら炒め時間を短縮します
※お醤油は中に入っている里芋に対してかけたら丁度良くなるくらいの量がイメージです

・沸いたらフタをして弱火に落として
 落し蓋をして15~20分煮る
※落し蓋は真ん中に穴をあけたキッチンペーパーでも十分です
※落し蓋がない場合は途中1~2度かき回しせば大丈夫です
※時間は目安、仕上がりの水分量で判断します

・水分がだいたい少なくなったら強火にして
 鍋を返すか、かき混ぜながら煮詰めます

・水分がほぼ無くなったら味見をして
 美味しければそのまま
 薄かったらお醤油を足します
※味見の時は一度火を弱めると慌てません

・そのまま煮詰めて、ほぼ水分がなくなったら
 弱火にして胡麻油や葱油など香りのよい油を少量入れて
 大きく絡めて火を止めます

これで出来上がり!
里芋には火が通っているのであとは味を含ませるイメージで作れば大丈夫。
さっそく「いただきます」
コクがあって里芋にお醤油が絡まった味わいにごはんがすすみます。

次に焼き物。

蒸してから焼き里芋

皮まで美味しい「焼き里芋」
 
〈材料一覧〉
・里芋
・お塩

材料はたったこれだけ。さあ、作っていきましょう!

〈作り方〉
・蒸した里芋を皮ごと厚めの輪切りにします。
※1.5cmくらいの厚切りがおすすめ

・魚焼きやトースターにアルミホイルを敷き
 きった里芋を並べる
※アルミホイルは落下防止と輻射熱による均一な焼き具合効果があります

・お塩をふって中火にかけて焼く
※ここでのお塩はしっかりめ、里芋の上にしっかりのっている感じにします

・表面に焦げ目がついたら裏返し
 弱火に落として焼く

・裏面も少し焦げ目がついたらOK

たったこれだけでできあがり。
焼きたてを「いただきます!」
こんなにシンプルなお料理なのにおどろきの美味しさです。
是非やってみて下さい。
ご家族やご友人たちにも大人気まちがいなしです。
硬めのものが苦手でない方は皮ごと食べてみて下さい。
里芋の外皮が食べられること、こんなに美味しいことを発見できると思います。
時間は目安トータル7~8分くらいですが、魚焼きやトースターによって大きく変わるのであくまで様子をみながら作ります。
機種によっては意外と早く仕上がります。
ポイントはのんびりと焦げ目がつくまで気長に待つことです。

最後に汁物。

蒸してから里芋味噌汁
蒸し里芋からの「里芋のお味噌汁」

〈材料一覧〉
・里芋
・長ネギ(青い葉があればなおよい)
・お味噌

材料はこれだけ。さあ、作っていきましょう!

〈作り方〉
・蒸して皮を剥いた里芋を適度な大きさに切る
 長ネギの青いところはぶつ切りに、白いところはみじん切りにする
※青いところがなければ両方白いところでも可

・深鍋に里芋とお水を入れて強火にかける

・沸いたら弱火に落として
 ぶつ切りの長ネギを入れて
 弱火に落としてフタをして5分火にかける

・フタをあけてお味噌を入れ
 フタをして弱火のまま一息おく
※こうするとお味噌が柔らかくなって溶きやすくなります

・お味噌をよく溶いて
 お椀によそってみじんの長ネギを散らします

これでできあがり!
シンプルですが里芋とお味噌で身体が温まります。
長ネギ無しで里芋だけでも作れますが、あると香りのアクセントになりより美味しくなります。
しめじやシイタケなどのきのこ類を入れてもよく合います。
もちろん大根や人参などほかのお野菜や油揚げを入れて芋煮風にしたり、さらに鶏肉や豚肉をいれてけんちん汁風にしても美味しく食べられます。

里芋について

収獲したての里芋

原産地は東南アジアと言われている南国のお野菜です。
東南アジアで主食として食べられているタロイモ類のうち、最も寒いところでも育つことが出来る品種が里芋になります。
タロイモ類と里芋は葉っぱがそっくりで、「里芋」を英訳すると「TARO」と表記されます。
日本にはなんと縄文時代に伝わってきて、弥生時代に栽培され始めたお米よりも昔から食べられていたそうです。
山芋や長芋、自然薯と並んでとても古くから日本人が食べてきたお芋になります。
ジャガイモやサツマイモはそれよりずっと最近に日本に出回ったので、江戸時代以降までは「お芋」と言えば「里芋」のことを指していました。
お芋はもともと山で育っていたものを、里で栽培できることから「里芋」と名付けられたようです。
日本人にとって古くからとてもなじみのある里芋はお正月料理には欠かせない存在です。
日本人のDNAに合うから食べるとホッとした気分になるだろうと思いました。

里芋の細かい品種についてはこちらに書いています。
里芋の種類について「ねっとり」「ほくほく」それぞれの品種で違う特徴をご紹介

里芋の旬 

収獲してバラした里芋

里芋は私たちの畑がある神奈川県藤沢市では4月に種芋を植えて10月から収穫時期を迎えます。
湿気た土が好きで、乾燥を嫌うので暑い夏の間は大きな葉を広げて足元に日陰をつくって湿り気を保ちます。
葉の表面はほぼ完全に水をはじくので、降った雨は玉になって葉先から流れ落ちて傘代わりになっています。
あのトトロが頭にのせている大きな葉っぱは里芋にそっくりですね。
トトロは傘としてではなく雨の音を楽しんでいるのが可愛かったです。
暑い夏はぐんぐん葉を広げて育ち、秋に実を太らせます。
10月の掘りはじめはみずみずしくてあっさりした味わいが楽しめます。
11月にはいると実がしっかりして味わいが深くなってきます。
ここまではその都度収穫しますが、寒さに弱いので12月に入るくらいにすべてを掘りだして畑に深い穴を掘り活けて冬の間保存します。
適切に保存すると熟成してますます味わいが増します。
10月から3月くらいが旬ですがその間に味わいの変化が楽しめます。

里芋の保存法

土つきの里芋

里芋はもともとは暑いところのお野菜、寒さが苦手です。
保存は土つきのまま、できるかぎり寒くならないところで保存します。
とはいえ、最近の住宅であればそこまでナーバスにならなずリビングに置いておくくらいの感じで大丈夫です。
入れ物は紙袋がベスト、ビニールは密閉してしまうと土が湿ってカビの原因になるので口は開けたままにしておきます。
傷んできたときは、ピンク色になったり黄色くぐじゅぐじゅ感が出たりするので見て触って判断します。
土中保存や土間下の保存庫などで保存する場合は条件が整えば追熟しますが、室内では水分は抜けていきます。
室内で寒くせず痛みが出なければ保温はききますが、新鮮な方が水分量が多くて美味しいので早めに食べるのをおすすめします。
冬は里芋が美味しいシーズン。


里芋を手に入れたら「まずは蒸す」。
蒸し里芋を楽しんで、残った里芋は冷めても美味しいですがいろいろ違うお料理に変身させることが出来ます。
いろいろな食べ方で簡単に美味しく里芋を楽しみましょう。

 

最後におまけ
【元料理人農園主のおすすめ調理器具コーナー】
里芋を洗うときに使っていた赤いゴム手袋。
立体感としなやかさ、やわらかさはさすがゴムメーカーの代物です。
耐久性があり、とにかく使いやすいのでぜひ一度使ってみて下さいね。おすすめです。

オカモト マリーゴールド

 

この記事を書いている人

ecプロフィール大輔

三ツ橋大輔
1971年神奈川県横浜市生まれ 
いのちのおやさい農園主

【プロフィール】
大学卒業後、建築設備の現場監督や型枠大工など建築関係の職種に携わる。
初めての工事現場に入ったとき地下二階分の深さまで大きく掘られた地面の穴に地球の痛みを感じ、ショックを受ける。
その後一度日本を離れてアジアの旅に出る。
主にタイ北部の山岳民族の村に滞在し自然と調和した暮らしを経験する。
タイの田舎で目の前で〆たばかりの鶏肉を使った家庭料理を食べ、あまりの美味しさに感動し日本に帰り30歳から料理の世界に入る。
大衆料理を目指し、横浜で中華料理の超人気店にて見習いからスタートする。
見習い時代、前菜で創作した合わせ調味料の味を店舗の総責任者に見込まれ、異例のスピードで鍋のポジションに抜擢され1日100食以上の鍋を振るう日々を送る。
調理場の責任者となり発注業務を行いながら毎日納品される野菜、肉、魚などの生鮮食材がまるで工場製品の様に均一化されていることへの違和感を感じる。
同時に「目の前にある食材はいったいどこでどのようにして育ちどうやって厨房に届くのか?」に関心を持ち始める。
2012年に「人生を変える」と決意する。
2013年オーガニックマルシェにて出店していた新規就農者を通じて「農業」という仕事に出会う。
自然農法の畑を訪れその世界感に魅了され突き動かされる衝動により農の世界へ進むことを決意する。
2014年から2年間、有機農家にて研修する。
2016年『いのちのおやさいfarmette』開園。
2023年 仲間と共に新たに 『いのちのおやさい 』をスタート。

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