畑のさやえんどう

さやえんどうの種まき時期は?種まき方法やコツを農家が解説

初夏が旬の「さやえんどう」、同じ仲間の「スナップエンドウ」も甘くて人気があります。
さやえんどうは旬がとても短く鮮度が美味しさに直結するタイプのお野菜です。
新鮮なものほど美味しく食べられるので、自家菜園をやっている方にはおすすめです。
自ら育てた旬の新鮮なさやえんどうの美味しさは格別です!
虫が少ない時期に育ち、丈夫で病気にも強いので無農薬で育てるのも難しくなく育てられます。
ポイントさえ抑えれば栽培は簡単な方に入るのでので、ぜひ育ててみましょう。
さやえんどについて知っていると種まきももっと楽しくなるので、はじめにさやえんどうについて簡単に見ていきましょう。

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さやえんどうってどんなお野菜?

さやえんどうの実

「さやえんどう」はマメ科エンドウ属のさやごと食べるえんどう豆ので、若いものは「絹さやえんどう」や「絹さや」と呼ばれます。
さやえんどうは中央アジア、中近東が原産で中国経由で日本に入ってきて、江戸時代から栽培がはじまりました。
スナップエンドウはアメリカが原産で1970年代に日本に入ってきた比較的新しいお野菜です。
さやえんどうのほかにも中のお豆だけを食べるグリーンピース(実えんどう)もあります。
どれも育て方は同じになります。
今回はさやえんどうの種まきの時期から見ていきましょう。

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さやえんどうの種まき時期

さやえんどうの種豆

さやえんどうを育てるのに最も大切になるのが種まきの時期です。
さやえんどうの種まきは季節で表すと秋が終わって冬が始まる晩秋の時期になります。
日本は南北に長いので具体的な種まきの日時は各地で違います。
私たち、いのちのおやさい農園のある神奈川県では11月頭から中旬に行っています。
自分の畑には具体的にいつ種まきすればよいかは種の袋を見ると簡単に確認できます。
種袋の裏には地域ごとの種まきの時期と収穫時期がわかる作型表というものが載っています。(表ではなくて文字の記載の場合もあります)
自分の畑のある地域がどこに属するかの地図もあわせて乗っているので、照らし合わせることで確認します。

 

さやえんどう栽培のポイント

さやえんどうの花

さやえんどうは晩秋に種を蒔いて、冬を越してから翌年の初夏に収穫時期を迎えます。

神奈川県では4月中旬~5月中旬になります。
収穫時期も種袋の裏を見ると簡単に確認できます。
種まきから収穫まで約5カ月かかります。
晩秋に種を蒔いて芽をだし、しばらく育った姿のまま冬を越します。
真冬には朝霜が降りるとカチカチに凍って日中溶けてを毎日のように繰り返します。
あんなに小さな姿でよく枯れないな、と感心します。
冬の間は成長をいったん止め、立春の2月頭くらいからふたたびゆっくりと成長し始めて春分の3月下旬くらいからはぐんぐん育ちます。

ここで「あるていど小さな姿のまま冬を越させる」ことがポイントになります。
さやえんどうは基本的に寒さにとても強いです。
しかし種まきが早いと背が高くなりすぎて、冬の冷たい北風の影響を大きく受けてしまいます。
逆に小さすぎると根張りが弱く、霜による土中の寒さにより根が傷んでしまいます。
どちらも寒さによる影響が大きくでて、寒さがあまりにきつすぎると耐え切れずに枯れてしまう可能性があります。

理想は高さが15cmくらいでずんぐりした姿のものが寒さに強い印象があります。
株元の冬草(冬でも枯れないハコベなどの雑草)や立ったまま枯れた夏草をまわりに適度に残しておくと寒さの影響が和らぎます。
霜による葉の凍結を和らげたり、風により倒れてしまうのを自然に防いでくれます。
株元に草がない場合は、稲わらや枯れた夏草などを敷くのも寒さ対策になります。


さやえんどうの種のまき方

さやえんどうの収獲

さやえんどうは酸性土壌には弱いと言われていますが、ある程度の酸性土壌なら問題なくので割と土を選ばず育ってくれる印象があります。

さやえんどうは双葉が大きく初期生育も適度にく、時期的にも虫が少ない時期の種まきなのでポットで苗を作るのではなく畑に直に種を蒔く直まきがおすすめです。
苗を育てて植え付けすることも出来ますが、根が傷みやすいので苗つくりはポットでします。
畑に直まきして苗をつくり移植する方法は避けた方が無難です。

種まき間隔(株間)は30cm、一か所3粒蒔きます。
3粒まいて2粒育てるイメージ、芽が出ないもの(欠株)があって1~2粒のばあいはそのまま、3粒とも出た場合は後ほど間引きします。
間引きは冬を越したころにします、また間引きできなかった場合はそのまま3粒で育てても大丈夫です。
種まき深さは指の第一関節くらいの穴をあけて種を落とし土を被せて(覆土)ギュッと上からおさえ(鎮圧)ます。
種まきの基本で覆土の厚さは種の大きさの2~3倍の土を被せます。
また覆土は種と土を密着させて土が締まることで乾燥が防げます。
芽が出るまでは1週間くらいです。
発芽率はよく、3粒のうちほとんど2粒以上は発芽するでしょう。
種の保存期間(種子寿命)は3年でそれ以上になると急速に芽が出る率(発芽率)が落ちます。
残っていた古い種が残っている場合は3年以内にまき切りましょう。
また古種は新種よりも発芽率は落ちるので少し多めに4~5粒で蒔きます。
4~5粒ともに出た場合はさすがに多いので2~3粒に間引きます。
この場合は冬が来る前に間引きますが、そのまま冬に入ってしまったら春になってから間引く方がよいでしょう。

ポットの苗作りの場合は7.5cmくらいのサイズでひとポットにつき2~3粒蒔き1カ月後に畑に定植します。

種まき後2週間くらいで高さ5センチくらいに育ちますが、とても美しい形をしています。
鼻をくっつけて匂いをかぐと、爽やかな香りがします。
そのまましばらく育ったら、小さな姿のまま凍てつくような寒い冬を越します。
「寒くなるね、元気に過ごしてね」と声をかけてあげて下さい。
お野菜はしっかり聞いているので、無事に冬を越してくれると思います。
また霜で凍る姿は健気でとても美しいので冬の間にも様子を見に合いに行ってみましょう。

 

さやえんどう風景

さやえんどうの種まきについて見てきました。
ポイントを押さえて元気な姿で冬を迎えさせてあげて下さいね。
無事に春を迎えて初夏には美味しいさやえんどうがいっぱい実りますように。

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この記事を書いている人

ecプロフィール大輔

三ツ橋大輔
1971年神奈川県横浜市生まれ 
いのちのおやさい農園主

【プロフィール】
大学卒業後、建築設備の現場監督や型枠大工など建築関係の職種に携わる。
初めての工事現場に入ったとき地下二階分の深さまで大きく掘られた地面の穴に地球の痛みを感じ、ショックを受ける。
その後一度日本を離れてアジアの旅に出る。
主にタイ北部の山岳民族の村に滞在し自然と調和した暮らしを経験する。
タイの田舎で目の前で〆たばかりの鶏肉を使った家庭料理を食べ、あまりの美味しさに感動し日本に帰り30歳から料理の世界に入る。
大衆料理を目指し、横浜で中華料理の超人気店にて見習いからスタートする。
見習い時代、前菜で創作した合わせ調味料の味を店舗の総責任者に見込まれ、異例のスピードで鍋のポジションに抜擢され1日100食以上の鍋を振るう日々を送る。
調理場の責任者となり発注業務を行いながら毎日納品される野菜、肉、魚などの生鮮食材がまるで工場製品の様に均一化されていることへの違和感を感じる。
同時に「目の前にある食材はいったいどこでどのようにして育ちどうやって厨房に届くのか?」に関心を持ち始める。
2012年に「人生を変える」と決意する。
2013年オーガニックマルシェにて出店していた新規就農者を通じて「農業」という仕事に出会う。
自然農法の畑を訪れその世界感に魅了され突き動かされる衝動により農の世界へ進むことを決意する。
2014年から2年間、有機農家にて研修する。
2016年『いのちのおやさいfarmette』開園。
2023年 仲間と共に新たに 『いのちのおやさい 』をスタート。

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