初夏が旬の「さやえんどう」や「スナップエンドウ」は旬がとても短く鮮度が美味しさに直結します。
自ら育てると何より新鮮なものが食べられるので自家菜園をやっている方にはおすすめです。
どちらも同じように育てられます。
収獲したての新鮮なさやえんどうの美味しさは格別です。
さやえんどうを育てたいけどどうやって育てるのだろう?あまり上手く育たないのでもっとよく育てたい!と言うかたは必見です。
絹さやとさやえんどうはいったいなにが違うの?無農薬農家が解説
さやえんどうの種まき時期は?種まき方法やコツを農家が解説
さやえんどうやスナップエンドウの育て方は?栽培方法のコツを農家が解説
さやえんどうってどんな栄養があるの?期待できる効能まで解説
さやえんどうの下ごしらえとは?簡単な筋とりとおいしい茹で方
さやえんどうを育てるのは難しい?
さやえんどうは育てるのが比較的簡単な方のお野菜ですがポイントを抑えるとさらに元気に良く育ちます。
虫が少ない冬むけて育ち、病気にも強いので無農薬栽培にも向きます。
ひとことにさやえんどといってもいろいろな種類があります。
それそれに違いや特徴があるのでそのあたりから簡単に見ていきましょう。
さやえんどうの種類と特徴
さやえんどうは大きく「つるあり」と「つるなし」の2種類に分かれます。
つるありは背が高く伸びるので、倒れ防止に支柱やネットで支えてあげます。
つるなしは背が低いので、自力で倒れず育ちますが強風などに備えて軽く支えてあげるとなおよいです。
つるありとつるなしのその他の違いは収穫期間です。
つるありは背が伸びるごとに花を咲かせて実をつけるので、その分収穫時期は長くなります。
つるなしは背丈が低い分収穫時期は短くなります。
さやえんどうはお野菜の中では収穫時期が短く、つるありでも1カ月程度つるなしは2週間くらいです。
さやえんどうの育つ時期
さやえんどうの栽培時期はつるあり、つるなしともに同じです。
種まきは秋の終わりに近づき、冬が始まるまえの晩秋の頃に行います。
私たちいのちのおやさい農園のある神奈川県では10月末から11月頭ころです。
さやえんどうは立冬(11月上旬)頃に種を蒔いて芽を出ししばらく育った後、冬至から立春くらいの間の真冬は成長を一旦ストップします。
冬を越すときに背丈が大きすぎると冷たい北風にあたって葉が痛んだり強風で倒れたりしやすくなります。
さやえんどうは根が浅いのでもともと倒れやすく、倒れることで大きなダメージを受けます。
逆に育ちが小さすぎると根はりも弱く、霜により根へ大きなダメージを受けやすくなります。
その冬を越し春を迎えて畑の土が暖かくなるとふたたび成長をスタートします。
種まきから約5カ月で収穫を迎えます
神奈川県での収穫時期は4月中旬~5月中旬になります。
さやえんどうを上手に育てるコツ①
さやえんどうは寒さに強いですが、あまりに寒さによるダメージが大きいと枯れてしまうこともあります。
適度な大きさで冬を越すことが大切です。
そこで、ひとつめの大切なポイントになるのが「種まきの時期」です。
先ほど神奈川県では11月頭から中旬ころと書きましたが日本は南北に長く山が多いので各地で気候が違うため、正確な種まき時期は種袋の裏を見て確認します。
種袋の裏にはその品種の種が種まきや収穫時期が地域ごとにいつからいつまでわかるような表(作型表)や文字説明が記載されています。
さやえんどうの種をまいてみよう!
種まきは間隔(株間)30cmで、一か所に2~3粒蒔きます。
種の2~3倍の深さになる様に、指の第一関節くらいの穴をあけて種を落とし土をかけてギュッと抑え(鎮圧)ます。
1週間くらいで発芽し、背丈がだいたい15センチくらいで冬を越すのが理想です。
さやえんどうは種をまいてから芽が出るまでの期間は1週間くらいです。
発芽率はよい方なので3粒蒔いたうち、だいたい2粒以上は出ます。
1週間以上待って出ない様なら少し土を優しく掘り起こしてみて芽が見えたら土を戻し、種がそのままだったり腐っていたり無くなってしまっていたら蒔き直しましょう。
神奈川県では11月の中旬くらいまではぎりぎり間に合います。
無事に発芽したら一安心、虫も少なく草の生え方も穏やかな時期なのでそのまま見守って育てます。
株元に生えてきた草はさやえんどうを覆ってしまうほど旺盛に生えた場合は刈り取りますが、バランスよく生えていれば寒さ対策になるのでそのまま残します。
さやえんどうを上手に育てるコツ②
冬を越して立春を過ぎると空気は冷たくても太陽の力が強くなるので土が温まり、ゆっくりと再び成長を始めます。
その後立春を過ぎる3月下旬くらい、気温が上がり始めるとどんどん成長スピードが速くなります。
特につるあり種は大きく背丈を伸ばし始めます。
ここでふたつめの大切なポイントになるのが、大きくなって倒れる前に支えを作ることです。
支えは4隅に支柱を立ててぐるっと紐を回すほうほうと支柱を立ててネットを張る方法があります。
どちらでも構いませんが倒れてからだと遅いので、ある程度小さなうちに行います。
さやえんどう栽培で気を付けるポイント
さやえんどうの成長スピードが上がる頃には周りの草もぐんぐん伸びるので、草の勢いがさやえんどうよりも勝ってしまいそうな時は手入れをします。
草の高さが低くなるように刈ってさやえんどうの株元に敷いておきます。
柔らかい草は地面より少し高いところで刈り、葉がまっすぐ伸びるイネ科の草は地表にある成長点から下で刈り倒します。
タイミングよく草刈りに入ることが上手に育てるためのコツです。
よほど草の育ちが旺盛でない限り1~2回のタイミング良い草刈りで大丈夫です。
そのまま気温の上昇に沿ってどんどん背丈を伸ばし成長します。
背丈が1メートルを超すと花を咲かせ始めます。
さやえんどうは紫やピンク
スナップエンドウは白くて綺麗な花を咲かせます。
花びらが落ちるといよいよ実が付き始めます。
キレイな黄緑色の小さなサヤががくから顔を出し始めます。
サヤが育ち大きくなるといよいよ収穫時期を迎えます。
花びらが落ちて3週間くらいたつと収穫のタイミングを迎えます。
さやえんどうの収穫の仕方は?収穫時期を長くするコツ
さやが大きくなったら初めは中のお豆が膨らむまでに若いうちにどんどん収獲します。
さやが繋がっているヘタの上の部分を手で摘むか、ハサミで切り離します。
さやえんどうの茎やツルはとても柔らかいので衝撃を与えないように優しく取り扱います。
さやえんどうの若採りしたものを「絹さやえんどう」や「絹さや」と呼びます。
「さやえんどう きぬさやとの違い スナップエンドウ違い」url:
「はしりの時期」と言われる収穫初期の段階ではさやえんどうそのものが若い状態なのでたくさんの花を咲かせてたくさんのさやをつけます。
さやえんどうは成長する段階で中の豆を膨らませたり、膨らんだ豆を維持するのにとても大きいエネルギーを使います。
たくさんのさやの中の豆を膨らませてしまうと大量にエネルギーを使い過ぎてさやえんどう自体が疲れて、あまり疲れが長引くと寿命が縮まり収穫時期が短くなってしまいます。
その為初期はさやが薄いうちにどんどん収獲します。
収獲し始めてから1週間~10日間くらいは2~3日ごとにどんどん毎日収穫しても大丈夫なほどです。
スナップエンドウはさやが薄いうちは味わいも薄いので初期からみがふくらんでから収穫します。
その後旬を迎える頃は気温の上昇に沿って成長が早くなります。
あっという間に中のお豆が膨らみますが、この頃になったら逆にさやが薄いうちに収獲せず中のお豆がしっかり膨らんでから収穫します。
気温が高いので光合成が活発になり実を膨らませても体力をキープします。
いわゆる「盛りの時期」を迎えます。
とは言え膨らみきっても収穫せずにそのまま置くとこれはまたエネルギーを大量に使ってしうので丁度良い状態で収穫します。
育ちすぎるとさやが乾燥したようになり、それを越すと黄色っぽくなってきます。
中のお豆がしっかり膨らんでさやにツヤがある時が収穫タイミングです。
中のお豆がしっかり膨らんださやえんどうはボリュームがあってコクのある味わいがとても美味しいです。
育ちすぎるとさやも中のお豆も硬くなりますに筋が入り硬くなります。
10日間~2週間くらい実を膨らませて収獲します。
グリーンピースは初期から中のお豆がしっかりと膨らむまで待ってから収穫します。
その後はさやのつき方が少なくなったり、曲がった形のさやが目立つようになります。
「名残の時期」と言われる段階です。
さやにソバカスのような黒い点々が出るものも目立つようになります。
そのまま中のお豆が膨らんでから収穫します。
食感は硬めになり甘みは減りますが、コクのある深くて渋い味わいに変化します。
さやえんどうを収穫しきれなかったとき
さやえんどうは成長が早いので収穫しきれないこともあると思います。
そんな時でも有効に利用できるので大丈夫です。
実が膨らんださやえんどうはそのまま育つとさやが乾燥して黄色っぽくなります。
そうなると中のお豆は硬くカチカチになっています。
このお豆は乾燥豆として食べることが出来ます。
食べる時は水に浸してから、茹でて加熱し柔らかくして食べます。
さやえんどうの乾燥豆は茹でるときれいな黒色になります。
食感はサクッとしていて、素朴ですが独特の味わいとコクがあります。
そう、みつまめや塩大福に入っているあの黒いお豆は乾燥のえんどう豆です。
お塩をふればそのままおやつにやお茶うけにしておいしく食べられます。
スナップエンドウの乾燥豆は白っぽい色をして四角っぽい形になります。
同じように食べることが出来ます。
またこうして乾燥したお豆はそのまま種豆になります。
中のお豆は種そのものなのです。
秋になったら蒔けるので発芽能力を保つためにしっかり乾燥させてか風通しのよい冷暗所で保存します。
さやえんどうについて育て方をテーマに見てきました。
栽培期間が長い割には収穫時期が短いですが、そのぶん旬がはっきり感じられる季節感の強いお野菜です。
春の桜の様に初夏のさやえんどうも時期が短い分、季節感を感じられて美味しさがなおさら引き立つように感じます。
収穫時期は約一カ月、お祭りの様にあっというまに過ぎますがその間にいろいろな味わいの変化を楽めます。
この記事が自ら育てるからこそ味わえる美味しさを楽しむきっかけになれば幸いです。
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この記事を書いている人
三ツ橋大輔
1971年神奈川県横浜市生まれ
いのちのおやさい農園主
【プロフィール】
大学卒業後、建築設備の現場監督や型枠大工など建築関係の職種に携わる。
初めての工事現場に入ったとき地下二階分の深さまで大きく掘られた地面の穴に地球の痛みを感じ、ショックを受ける。
その後一度日本を離れてアジアの旅に出る。
主にタイ北部の山岳民族の村に滞在し自然と調和した暮らしを経験する。
タイの田舎で目の前で〆たばかりの鶏肉を使った家庭料理を食べ、あまりの美味しさに感動し日本に帰り30歳から料理の世界に入る。
大衆料理を目指し、横浜で中華料理の超人気店にて見習いからスタートする。
見習い時代、前菜で創作した合わせ調味料の味を店舗の総責任者に見込まれ、異例のスピードで鍋のポジションに抜擢され1日100食以上の鍋を振るう日々を送る。
調理場の責任者となり発注業務を行いながら毎日納品される野菜、肉、魚などの生鮮食材がまるで工場製品の様に均一化されていることへの違和感を感じる。
同時に「目の前にある食材はいったいどこでどのようにして育ちどうやって厨房に届くのか?」に関心を持ち始める。
2012年に「人生を変える」と決意する。
2013年オーガニックマルシェにて出店していた新規就農者を通じて「農業」という仕事に出会う。
自然農法の畑を訪れその世界感に魅了され突き動かされる衝動により農の世界へ進むことを決意する。
2014年から2年間、有機農家にて研修する。
2016年『いのちのおやさいfarmette』開園。
2023年 仲間と共に新たに 『いのちのおやさい 』をスタート。