初夏が旬のさやえんどうやスナップエンドウ、爽やかな香りと甘みがあってとても美味しいですね。
その美味しさはちょっとしたポイントを抑えることで格段に上がります。
「え!さやえんどうってこんなお美味しいんだ!」と感激すること間違えないのでぜひ参考にしてみて下さい。
さやえんどうの美味しい旅へ元料理人の農園主がご案内します。
では出発しましょう!
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さやえんどうの下ごしらえとは?簡単な筋とりとおいしい茹で方
さやえんどうの下ごしらえとは?
さやえんどうは蔓に実がなるので土がついていたりすることは少ないのでキレイに見えますが水洗いします。
ザルとボールで2~3回サッと水洗いすれば大丈夫です。
次に筋をとります。
筋をとることで格段に口当たりがよくなります。
とらないとお子様や女性は噛み切れないこともあるのでとるようにします。
ですが、筋とりは一個一個行うので数が多い分上手くとれないとストレスになります。
そこでスッときれいにとれる「さやえんどうのすじのとり方」をお伝えします。
さやえんどうの簡単な筋のとり方
ここではさやえんどうのさやの方を「頭」ひげのついている方を「お尻」
真っすぐな方を「背中」丸っこい方を「お腹」とします。
お魚に形が似ているので同じイメージです。
では筋を摂とる順番行きます。
①「お尻」から「背中」方向
②「頭」から「お腹」方向
でとります。
「お尻」→「背中」→「頭」→「お腹」
です。
絵にするとこんな感じです。
よく「頭」から「背中」方向に行ってしまいがちですが、それだと高確率で筋が途中でぷつっーと切れます。
フェードアウトするように切れるので切れてしまうと続きを見つけづらくストレスフルです。
「お尻」から「お腹」方向も同じことが起こります。
「お尻」→「背中」→「頭」→「お腹」
の順です。
ぜひやってみて下さい。
洗って筋まで取れたらそれだけで下ごしらえ完璧です。
できるだけ新鮮な方が美味しいのでさっそく茹でましょう。
でも、茹でたはよいが茹で加減が分からずくたくたにしてしまうこともあったかもしれません。
茹ですぎのくたくたはうま味もにげてしまい水っぽくなるのでかなり残念な状態です。
生でも食べられるお野菜なので攻める姿勢で早めに茹で上げて硬めに寄せる方法もあります。
それも悪くはないですが丁度良く加熱するからこそ引き出てくる絶妙な旨味というものがあるのでせっかく茹でるなら美味しく茹でたいところです。
ではどうやって?
それをわかりやすくお伝えします。
こうすれば美味しく仕上げる!さやえんどうの下準備
お鍋やフライパンにお水をいれて火にかけてさやえんどうの下ごしらえとは?美味しい茹で方を農家が解説お湯を沸かします。
お野菜を茹でる時に水から入れるか、沸いてから入れるかは下記のルールに沿います。
土から上に実るもの…お湯から
土から下に実るもの…お水から
さやえんどうは蔓にぶら下がって実るので土から上、沸いてからお湯に入れて茹でます。
ここでひとつめのポイントになるのがお水の量です。
さやえんどうがひたひたに浸かるくらいの少ない水量にします。
さやえんどうを入れたら水面から飛び出ちゃうくらいの水量が良いです。
極端に言うと半分でているかな、くらいで大丈夫です。
単純に茹でるというよりは、蒸し茹でみたいなイメージです。
沸くまでにお塩をいれます。
ここでふたつめのポイントになるのが塩加減です。
何も入れなくても十分美味しいのですが、お塩を入れて加熱することで旨味と甘味がググッと引き出されます。
ここでは中途半端な塩加減はむしろ味をぼやけさせてしまうのでお塩の量はポイントになります。
塩加減が薄かったらあとでかければよいや、と少なめにすると後出かけた時に塩分が主張しすぎて気になります。
さやえんどうは後追いのお塩が合わないので、茹でる時にしっかりお塩の量を決めることが大事です。
では実際にどのくらいのお塩をいれるか説明します。
ここでお湯何ccにお塩何gとすると一見分かりやすいのですが落とし穴があります。
まずお塩によってしょっぱさの成分ナトリウムの質や濃度が違います。
また茹でるお鍋やフライパンの形により水量に対してさやえんどう量のバランスが異なったり、さやえんどうの浸かり方が異なるなどで同じ塩分濃度のお湯でも仕上がりが変わります。
また実際に何cc入れたのか計らず入れることも多いので把握しづらかったり、何ccか分かってもお塩を何gと計るのにも手間がかります。
そこで一番の指標になるのが人間の味覚です。
では実際の入れ方です。
お塩は始め「ちょっと多いかな」と思うくらいどべっと入れます。
しょっぱくなるのを避けるために少なくなりすぎるパターンが多いですがしっかりいれます。
沸いたら飲んでみます。
「ちょっとしょっぱいけれどおいしい」と思えればOKです。
イメージとしてお味噌汁より濃いラーメンスープくらいの濃度です。
一応目安としてお水100ccにお塩1.2~1.3gくらいです。
人間の体内塩分濃度は0.9%なのでそのくらいにするとカラダが「おいしい」と感じます。
飲んでみて足りなければ足します。
足して味見します。
薄ければ足します。
味見します。
丁度よくなればOKですが、足して味見するのは出来れば2回、多くても3回までにします。
それ以上すると舌が慣れて味が分からなくなります。
その為最初にどべっと入れてしまいます。
では多かったら?
それは引けません、笑。
でも思い切ってやって入れすぎる経験はとても大きいです。
おそるおそる入れて足して足してで仕上るクセがつくと味付けの感覚が育まれにくくなります。
一回一回計りで計って作るのも同じことが言えます。
お塩加減は塩梅と言われるように美味しい料理を作る要になります。
まずいとか美味しくない料理の原因が塩分が薄すぎることであるパターンはとても多いです。
お塩加減は感覚で覚えるのが一番おいしいお料理を作れるようになります。
感覚で味付けできるようになると、何より料理が圧倒的に楽しくなります。
料理が楽しいともっと美味しくなるので、感覚を育む意味でも思い切ってお塩を入れてみて下さい。
思い切ってやってしょっぱくなる経験はとても大切です。
料理の味付けでやって料理がおじゃんになるとダメージが大きいですが、茹で汁だったらダメージが少ないので絶好の練習の場です。
入れすぎたら、また1から作ってください。
しょっぱい茹で汁はほかに用途で使うか思い切って捨てて下さい。
捨てると「勿体ないな」と思いますがその気持ちは料理の上達に繋がります。
もう一度やるとすごく上手になっているはずです。
大丈夫!カラダはすばらしい「味覚センサー」を持っていて美味しいを知っています。
頭で考えずにカラダが動くままにお塩をすくって入れてみましょう。
茹で塩の塩加減だけで激烈熱くなりました、笑
次にいよいよ茹でに入ります。
さやえんどうが絶品になる!さらに美味しく仕上げる茹で方
沸いたらさやえんどうを一気に入れてすぐにフタをします。
火力は中火から強火でしっかり沸かします。
ぐつぐつなるまでしっかり沸かしたらフタをあけて調理スプーンやお玉などで軽く全体的にかき混ぜます。
中弱火まで火を落とします。
茹で汁をもう一回飲んで味見をします。
ここで「丁度良くおいしい」と思えればOKです。
薄かったら足します。
ちょっと濃くてもOKです。
かなり濃かったらお水(できればお湯)をほんの少量足して味見します。
ここではあまり細かくならずちょっとくらい濃くても「おいしい」と思えばOKです。
再びフタをして茹でます。
火力は中弱火のままです。
ふつふつ沸いていればOKです。
沸き方が弱いの仕上がりの味がぼやけるので、気持ち強めの火力にします。
ここでもちょっとわきすぎても大丈夫です。
そのまま茹でます。
茹で時間の目安は再び沸いてフタを閉めてから
絹さや…1~1分半
さやえんどう、スナップエンドウは…1分半~2分
です。
これも鍋やフライパンに対する火力の強さで変わるので目安にして、あとは味見で確かめます。
目安時間が経ってフタをあけてみたときに、フワ~っとお豆のよい香りがするのもいい茹で上がりのサイン。
見た目もふっくらして色が鮮やかで、沈んでいたさやえんどうがふわっと浮き上がってるような感じもサインです。
時計よりも正確で、お塩加減と同じように今度は「見た目センサー」や「匂いセンサー」を働かせてみて下さい。
きっと「このくらいでいいかな」と思うポイントがわかります。
仕上も感覚でつかめると料理がますます楽しくなります。
一つ食べてみて「おいしい!」と思えればOKです。
ザルにあけて出来上がりです!
すぐに食卓へGO!熱々を「いただきます!」
茹でたては最高です。
上手に茹でられると冷めても美味しいです。
硬かったらもうちょっと茹でます。
余熱でも火は入るのでほんのすこし硬いかな、くらいでもよいです。
ここでも生はイヤだから、と茹ですぎてしまうパターンが多いです。
茹ですぎも美味しくない原因のトップ3に入るので避けたいところです。
思い切って硬い経験も、しょっぱい経験とおなじくらい大切です。
硬くても2度茹では厳禁!普通の茹ですぎよりひどいことになります。
硬い時はそれはそれとして美味しく食べましょう。
茹ですぎより比べ物にならないほど美味しいです。
硬くても美味しいけど、もっと美味しくしようと思えば大丈夫です。
必ず次はもっと美味しく仕上がります。
驚きの美味しさ!旨味ががぎっしり!さやえんどうの茹で汁
さらにこの茹で方は美味しいおまけがあります。
少ない水分で茹でるので、茹で汁には濃厚なさやえんどうの旨みが染み出ています。
そのまま少し味見で飲んでみて下さい。
意外なほど美味しいので驚くと思います。
塩分が強いのでスープとしてのむ場合はお湯で割ります。
そこに胡椒をいれるとプレーンなスープになりすっきり美味しく飲めます。
スープのベースとしても使えるので葉物のお野菜やお豆腐、きのこなどを入れて仕上げにごま油やオリーブオイルなどの香りのある油を加えるだけで立派スープになります。
お味噌汁の出し汁としても同じように使えます。
とても美味しい茹で汁は茹でこぼさずにいろいろお料理して楽しんでみて下さい。
お料理関連に記事になると熱くなりすぎますが、今回は大切なポイントがたくさんありました。
筋をとって茹でるだけでしたが、シンプルなお料理ほど奥が深いというのは本当だと思います。
思いっきり感性を働かせて、めのまえのさやえんどうちゃんを美味しく食べてあげて下さいね!
一緒に食べる方もきっと喜ぶと思います。
今回も読んでくださってありがとうございました。
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この記事を書いている人
三ツ橋大輔
1971年神奈川県横浜市生まれ
いのちのおやさい農園主
【プロフィール】
大学卒業後、建築設備の現場監督や型枠大工など建築関係の職種に携わる。
初めての工事現場に入ったとき地下二階分の深さまで大きく掘られた地面の穴に地球の痛みを感じ、ショックを受ける。
その後一度日本を離れてアジアの旅に出る。
主にタイ北部の山岳民族の村に滞在し自然と調和した暮らしを経験する。
タイの田舎で目の前で〆たばかりの鶏肉を使った家庭料理を食べ、あまりの美味しさに感動し日本に帰り30歳から料理の世界に入る。
大衆料理を目指し、横浜で中華料理の超人気店にて見習いからスタートする。
見習い時代、前菜で創作した合わせ調味料の味を店舗の総責任者に見込まれ、異例のスピードで鍋のポジションに抜擢され1日100食以上の鍋を振るう日々を送る。
調理場の責任者となり発注業務を行いながら毎日納品される野菜、肉、魚などの生鮮食材がまるで工場製品の様に均一化されていることへの違和感を感じる。
同時に「目の前にある食材はいったいどこでどのようにして育ちどうやって厨房に届くのか?」に関心を持ち始める。
2012年に「人生を変える」と決意する。
2013年オーガニックマルシェにて出店していた新規就農者を通じて「農業」という仕事に出会う。
自然農法の畑を訪れその世界感に魅了され突き動かされる衝動により農の世界へ進むことを決意する。
2014年から2年間、有機農家にて研修する。
2016年『いのちのおやさいfarmette』開園。
2023年 仲間と共に新たに 『いのちのおやさい 』をスタート。